風
ラックは次の日起きたのは16刻を少し過ぎた頃だった。
たっぷり寝たのでもう眠たいたは思わなかったが、空腹だった。バックの中から昨日昼食として食べたものと同じものを食べた。いくら日持ちがするといっても、もって3日程度だからだ。
食べ終えると、ラックは宿を出ることにした。宿は前日払いだったので金は出さなかった。
ティナの町から目的のオスラという森までは人口が少ない町、小さな草原と大きな谷がひとつだったので、ラックは回りに人がいないことを確認してから空を飛んだ。ラックは飛ぶと馬車よりも速く進むことができるからだ。
広々とした青い空の下を自由に飛ぶことは滅多に許してもらえなかった為、気分が良かった。時折、人がいる場所では一時的に降りるかもっとずっと高いところを飛ぶようにした。
4刻間ずっと飛んでいると、さすがにラックも疲れてきたので、木が多く茂った林の中に流れている小川のほとりで休むことにした。小川では魚が泳いでいた。あまりお腹は空いていなかったが、泳いでいた魚をどうにか手で捕まえて火を焚いて焼き魚にして食べた。ラックは一人で何かを調理するのに苦戦した。
今いる場所がどのあたりか明確には分からなかったので次の街で聞いてみよう、と考えながら魚の骨を処理していると、ふと川の下流に自分と同じ位の少年がいることに気づいた。その少年は髪がどこか青がかった色をしている。興味をもって話しかけてみた。
「ねぇ。君さ、」
男の子はとても驚いた顔をしてラックの方を見た。
「何?」
「どこの国の人なの?」
国によって住んでいる種族が違い、国は多くある為ラックは知らない種族だと思ったようだ。
「僕は・・・」
そこまで言うと、少年は口を閉ざし、
「すまないけど、これから急がないといけないんだ」
と言ってどこかへ行ってしまった。ラックはぽかんとして少年がいたところを見ていた。
途中まで言いかけたのだから言ってしまってからでも良かったのに。それとも、言いたくなかったのかにゃ?
ラックは少しの間何があったのか考えてみたが、答えは出てこなかった。
それより、さっさと進まないと。
荷物を手に持って再び空へ舞い上がった。空に浮かび上がると、町が思っていたより近くにあったことに気づいた。1刻進むと、もう着いてしまった。町というより村に近かった。
近くの人にここはどこなのか尋ねると、すぐに答えてくれた。現在地が分かったラックは礼を言うと、日が暮れるまで飛び続けることを決めた。
日が暮れるまで、ラックが村を出てから5刻もたたなかった。
ラックは途中の草原で文字通り羽を休めることにした。始めての野宿だ。
テントは持ってこなかったので火を焚き、その近くで夕食をとった。目的地まであと2日もしないでつけるだろう。ラックは横になって空を眺め、いつのまにか眠ってしまった。
綺麗な月明かりとラックの焚いた火がラックをを照らしていた。
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