荷物をまとめたら
ようやく荷造りが終わった頃には日が西の空に傾き始めていた。
「数が多いにゃ。」
できた荷物を眺めてみると移動だけで大変な量になってしまった。
減らさないと と思い整理をはじめてみるが、進展があまり無い。
最初に比べてもパッと見て変化が分からないほどだろうか。
もう一度、整理に取り掛かろうとした時、部屋の扉がノックされた。
「どうぞ。」
入ってきたのはジュムンだった。
「荷物はできたか?」
どうやら待ちきれなかったらしい。小さな袋と紙を持ってきた。
「どれを持っていくつもりだ?」
「・・・全部。」
ジュムンは薄く笑って小さく冗談だろ、と呟く。
本当に多い荷物だった。
「これではまるで引越しのようだぞ。
本当に必要なものだけを持って行くんだ。」
そう言うと、ジュムンは荷物の山に近づき、中から大きなランプ、掛け時計、
家族の写真、紙の束とペンと換えのインク、そして多量の服とハンガーを出した。
「服屋でも開業するつもりだったのか?」
冗談を言いながらさらに服を出していく。
どうやら荷物の大半を服が占めていたようだ。
「だって、服が足りなくなったらどうするの?」
「着替えは3着あれば十分だ。洗えば何度でも着れるだろう。
それに、今の季節なら4刻あれば乾く。 」
ジュムンが一気に不要物を取り除いたので荷物の山は姿を消していた。
「これで荷物はできたな。」
ジュムンは近くにあったテーブルの上に持ってきたものを全て置いた。
「次資金と、アレックのいる場所についてだ。」
『アレック』という名前は初めて聞いた。おそらく、それが従兄弟の名なのだろう。
ラックはゆっくりうなずいて深く息をした。
「まず、資金だが、これだけ用意できた。自由に使えばいい。
だが、あまり変なことに使うな。食費がなくなるからな。」
ラックは食べ物のことを一切考えてなかったらしく、小さく 食費、と声に出してみた。うまく自分でバランスのいい食事ができるだろうか。いまさらながら、少し不安になった。
「そして・・・」
ジュムンが持っていた紙を広げた。紙は地図だった。アークウェイの中にある大きな森に赤い星印が書かれている。ここからそう遠くも無い。
「ここにいるの?」
ラックはこわごわと聞いてみた。
「そうだ。」
ラックはもう一度星印を見た。さっきとは少し違う目つきをしているようにも見えた。
もうそろそろ旅に出れそうですね。
更新があまりできる気がしないですが、良かったらぜひ見守って下さい。