猫
「何言ってんだよ」
さすがにアレックもつっこまずにはいられなかったらしい。
「だって・・・
こんなに猫いっぱいいておいしいもの食べながら・・・。
日差しも丁度いいしここまで気持ち良いの久しぶりだったから・・。」
ラックの夢を見ているようなとろんとした目はまぎれもなく最高級の幸福を表していた。
「そ・・・そうか。」
ラックはやはり半ば呆れながら返事をした。
「 ? なんか顔についてるみょ?」
アレックはラックの顔をじっと見つめていたのだ。
「いや、何でもない
・・・口にジャムついてる。」
「え。」
ラックは右手の中指で口の端を軽くこする。
「本当だ。ありがとう。」
「スープスパと鶏肉のグリルをお持ちしました。
熱いのでご注意ください。 」
店員が2品をテーブルの上へのせる。
「ごゆっくりどうぞ。」
メインとなる料理は昼の日差しをうけてさらに美しく輝き、あたたかな香りは食欲をいっそう強く刺激した。
ラックは良い香りにまわりの猫達も集まってくるのではと思ったが、猫達は寄ってこなかった。
おそらく、そのようにしつけられているのだろう。
「うまそー!にゃぁヴォー、半分づつ分けて食べにゃい?
俺の鶏とヴォーのパスタ!」
アレックはすぐにその案を受け入れた。
ラックが皿を2枚頼み、それぞれが注文した料理を半分に分けた。
スープスパのスープの量や、グリルにかかっていたソースの量には多少の違いがあったが他は大体同じくらいに分けられている。
2人は食べている一刻の間、何も喋らなかった。
「さ、出よっか。」
会計を済ませて外へ出ると、着いた時よりも強い、甘い香りがしていた。
「ここからどうす・・・」
アレックがこれからの予定を聞こうと後ろを振り返ってみる。
ラックがいなかった。
最近一気に寒くなりましたね。
中二で習った西高東低が思い出されます。
すっかり忘れてましたけどね。