レストランにて
2人が店の方へ歩くと、門の上に座っていた子猫が降りてきて近づいてきた。
ミー ミー ミー
その子猫は少し鳴くと、その澄んだ瞳でラックを見つめた。
「かわいいにゃ。」
ラックがその猫を胸に抱いてドアを開けた。
子猫は満足そうな顔でゴロゴロと喉を鳴らしていた。店内には猫が多くいた。
「ここ、猫カフェみたいだみょ。」
子猫は、他の猫達を見るとラックから離れてそちらの方へ駆け寄っていった。
「いらっしゃいませ。お好きな席へどうぞ。」
店員は、落ち着いた雰囲気のある眼鏡をかけた短髪の男だった。
ラックが窓側の席に向かったので周りでじゃれていた猫達も何匹かついてきた。
アレックは椅子の上にウサギのようにふわふわした美しい毛の猫が座っていたので、見とれていた。
「ヴォー?」
「ん?」
「座らにゃいの?」
「・・・いや、」
ラックは猫を椅子の上からおろした。
「猫がいたから。」
「そっか。」
椅子は上質な素材を使っているようだった。
「結構いいとこだな。」
「うん。」
店内はテーブルクロスから猫用のベッド、カーペットにいたるまで全てがクリーム系やブラウン系の優しい色で統一されていた。
「メニューをお持ちしました。」
先ほどの店員がメニューを持ってきた。メニューの表紙の色もやはりブラウンだった。
「結構たくさんあるんだにゃ。」
絵などが入っていて見やすいメニューはなんと8ページもあった。
その後、少ししてラックは野菜スープと鶏肉のグリル、アレックはピクルスとスープスパゲッティを注文した。
この店のパンは無料で食べられるらしく、注文した時に店員がバスケットのようなものにバターも一緒に入れていくつか持ってきてくれた。
「ジャムはにゃいみょ?」
「ジャムは有料になってしまいますが、ストロベリーとブルーベリーの2種類があります。」
「じゃぁ、ストロベリーを。ヴォーは?」
「俺はいいよ。」
「かしこまりました。少々お待ちください。」
にこやかに店員は厨房の方へ戻っていった。
「せっかくクルトスまで来て食パンをそのままっていうのはなぁ。
ヴォーほんとにいいの?」
「昼食は甘くなくていい。」
「じゃぁ、明日の朝ごはんはジャムかなんかのっけてたべるみょ。ほんっとおいしいんだから。」
ラックはかなり熱心にアレックにクルトスを売り込んでいた。
「分かったから・・・。」
アレックはしぶしぶ受け止めた。
「ジャムとスープをお持ちしました。」
湯気と良い香りのするスープと、己から輝いているのではないかと思うほど美しい真っ赤ストロベリージャム。
一礼して再び厨房へ戻る店員を見届ける間も無く、2人は食べ始めた。
ラックはいつの間に塗っていたのか、もうジャムのついたパンを食べている。
「俺・・・幸せだにゃぁ・・・。」
ラックはアレックの視線も気にせず、もくもくと食べ続けた。
変なところで切ってしまいました・・・。(←3度目
ご容赦ください。。。