翌朝
ラックは翌朝目覚めた時、一瞬、自分が今どこにいるのか分からなくなった。隣のベットでまだ眠っているアレックをみてようやく思い出すことができた。
ラックたちが泊まった部屋には広々としたシャワーがついていた。一番いい部屋を、と頼んだのだから当然かもしれなかったが、もう何日もシャワーを浴びていないラックにとっては嬉しかった。
窓の外をベットに座って見ていると、アレックが起きた。
「起きてたのか。」
「うん。先に宿代払ってくるから先にシャワー使っていいみょ。」
アレックが軽くうなずいたので部屋を出てフロントへ向かった。
フロントにはすでに係りが座って仕事を始めていた。
「おはようございます。どうなさいましたか?」
「先にお金払っておこうと思って。朝食つけていくらだっけ?」
「2名様でちょうど4万フランです。」
札入れのなかから1万フランを4枚出すと、
「予定が変わったので朝食を早めに持ってきてほしいんだ。」
といった。
「かしこまりました。半刻ほど経ちましたらお部屋にお持ちします。」
にこやかな笑顔と見事な対応だと思った。城にいればそんなものは普通だったのだが、城を離れてみると誰も自分だということには気づかず、対応もやや粗末に変化したのが楽しかった。
世界は思ったよりも冷酷なのだ。
ラックが部屋に戻ろうとした時、外で王城までの伝書鳩を貸していた。興味をひかれて見に行ってみると、どうやら城まで手紙を届けてくれるようだった。
面白そうだったので手紙を書いてみることにした。
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僕は元気です。
アレックも見つけて一緒に行動しています。
予定よりずっと早くに帰れそうです。
ラック・カル・シルセイン
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満足して部屋に帰ると、アレックが朝食食べずにを机の上に置いて待っていた。髪が少し濡れたようだったのでシャワーはもう浴びたのだろう。
「先に食べてて良かったのに。」
「いや。
勝手に食べてるのは少し気が引けたから。」
「そっか。じゃぁ、食べるみょん。」
朝食はテーブルロールパンを2個ずつと色とりどりの野菜サラダだった。
「アレックはこれからどこか行きたいところはないみょ?どこでもいいんだけど。」
この『アレック探し』はラックにとっていつもの生活からのちょっとした逃避でもあったのだ。
「どこでもいい。どこになにがあるか知らないし。フィツが決めてくれ。」
ラックは少し考えてから言った。
「クルトスがいいみょ!」
今回も変なところで切ってしまいました。。。
次回お楽しみに♪