経過
屋台の看板には『お手軽ランチ!!ミンアで生まれた新感覚サンド!』と赤い文字で書いてあった。ミンアはアークウェイの北側に属する大きな街である。
近くでこの店で販売しているものと思しきサンドウィッチのようなものを食べている人がいた。パンとパンの間に何かを挟んでそのまま手にとって食べるというのはあまり上品に食べることができないのでこのようなものはできなかったのだと看板の隅に書いてあった。
サンドウィッチでさえあまり食べたことの無いラックにとってこれはかなり新鮮なことだった。
メニューを見てみると、オススメ商品として『ジューシーな鶏肉の照り焼き』と書いてある。実際によく売れているのだろう、上から売り切れの札が張ってあった。
ラックがどれにするか決めた時にハンドベルがなった。
「すみませ~ん、ピクルスと牛肉のダブルサンドは売り切れになりました~!」
「うっそ!俺アレ頼もうと思ってたのに!ピクルス大好きなのにぃ~」
ラックがまるで悲劇の底に落ちたかのような声で言った言葉にアレックが微かに笑った。
「ヴォーはどれにするか決めた?」
もうあと何人かで自分達の番だ。
「牛肉カルパッチョの野菜多め」
「じゃ、俺もそれにしよっかな。あれ、ドリンクも一緒に売ってたんだ。どれにする?
俺はグレープにしようかにゃ。」
「レモネード・・・は甘すぎるか。レモンスカッシュ。」
「OK」
ようやく2人の番になった時には並び始めてから半々刻ほど経っていた。注文を言うとすぐに全てが出てきて移動するとすぐに次の方どうぞ、と店員の声が聞こえた。
広場の木の下で食べることにした。広場では、同じ屋台で買ったらしい、似たようなものを食べている人が割と多かった。
「いただきます!」
パンにかぶりつくと、柔らかなパンの優しい香りとうまみのあるタレがかけられた牛肉が見事に調和しているのが分かったし、野菜も新鮮、ドリンクも無駄な味がしなくてそれぞれ美味しかった。
きっと2人とも完食するのに半刻もかからなかったことだろう。食べている間、2人とも会話はなく自分の手の中にあるものだけをただ見つめていた。
「ごちそうさまでした。」
ゴミを広場に設置されていたゴミ箱に入れ、これからどうするかを話した。
「ずいぶん早い行動になるけど、宿を探しておかない?今日はゆっくりしたくて。」
「宿?まぁ、することもないし、いいよ。」
宿は程なくして見つかった。商店街などにも近く、海からの夕日もきっと綺麗に見えるだろう窓のあるちょっと洒落た部屋を借りた。
部屋の中にはメイクの整ったベッドが2つ並んでいた。窮屈でこそなかったが広々とはしていなかった。
日が傾いてきた頃、眠気は感じなかったが2人とも寝付いた。
窓から差し込む満月の月光は優しげに揺らめいて部屋の中を照らしていた。
値段や質的に
宿<ホテル
です。ホテルは使う(使わせる?)こと無いと思いますが。。。
★感想・評価お待ちしています★