アウトオブあーかい部! 〜部室棟 乙女の干物 集まりて 怠惰を極め 綴るは実績 電子の海へ あゝあーかい部〜 69話 制服デート
ここは県内でも有名な部活動強豪校、私立 池図女学院。
そんな学院の会議室、現場……いや、部室棟の片隅で日々事件は起こる。
あーかい部に所属するうら若き乙女の干物達は、今日も活動実績を作るべく、部室に集い小説投稿サイトという名の電子の海へ日常を垂れ流すのであった……。
『アウトオブあーかい部!』は、そんなあーかい部のみんなの活動記録外のお話……。
ここは県内でも有名な部活動強豪校、私立 池図女学院。
そんな学院の会議室、現場……いや、部室棟の片隅で日々事件は起こる。
あーかい部に所属するうら若き乙女の干物達は、今日も活動実績を作るべく、部室に集い小説投稿サイトという名の電子の海へ日常を垂れ流すのであった……。
『アウトオブあーかい部!』は、そんなあーかい部のみんなの活動記録外のお話……。
池図女学院部室棟、あーかい部部室。
……ではなく、学校から電車で数駅離れた水族館前。
「…………いるなぁ。」
時は土曜日、午前9時。
きはだはまだ人が疎にしか集まっていない広場に、学校の制服姿で藤色の髪をフワフワ揺らしブンブンとこちらに手を振り大股で駆けるウィスタリアの姿を見つけた。
「キハダさん♪♪」
「ぐぇ……!?ど〜うどう、きはだちゃんは逃げないからねぇ。」
きはだは、駆けてきた勢いそのままに抱きついてくるウィスタリアをえずきそうになりながらなんとか受け止めると、山道で熊と出会したときにするように正対したまま数歩後ずさった。
「キハダさんも制服で来てくださったんですね♪」
「オーダー通り、ねぇ。」
「フフ♪ところでキハダさん、わたくしに何か言うことがあるのでは?」
ウィスタリアはきはだに見せつけるように、仰々しく制服の襟を直した。
「合格おめでとう。」
「ん"ん"……ッ!そ、それもそうですが……ほら、他にも……。」
ウィスタリアは咳き込むときはだの前で腕を広げてクルンと一周した。
「今日お弁当作って来たんだぁ〜♪」
「なんと……!?」
ウィスタリアは動きを止めてきはだの手提げカバンに釘付けになった。
「……って!そうじゃなくて、もっとこう……他にっ!」
ウィスタリアはスカートの裾を摘んで貴族がする様に優雅にお辞儀してみせた。
「あ〜!」
「そうで
「大戦よろしくお願いします。」
きはだはウィスタリアに深々と頭を下げた。
「ちーーがーーいーーまーーすーー!!」
「えぇ?てっきり『決闘の前は……、お じ ぎ だッ!』って言われるもんだと。」
「そんなファンタジーな世界観じゃありませんって……。」
「参ったなぁ……、他に言うことなんて
「もっとあるでしょう!?ほら!『せ』……!?」
「『せ』……?」
ウィスタリアは痺れを切らした。
「『い』……!」
「『い』ぃ……、あぁ、わかったぁ♪」
「キハダさん……!///」
「次は『の』だねぇ。」
「…………、は?」
「『せいの
「『性の6時間』じゃ
「『性能が全てではないのだよ』じゃなくてぇ?」
「 」
ウィスタリアはその場で固まると、顔を真っ赤にしてプルプル震え、肩叩きでもするようにきはだの頭を拳でポカポカと殴った。
「きはだちゃん縮んじゃうよぉ……。」
「うるさいですッ!///……んもうっ!あの頭真っピンクなジョーレンさん達のせいで……!///この……っ、このぉ!///」
「それは本気で同情する。」
少し経って、ウィスタリアが肩で息をしながらもなんとか落ち着きを取り戻した。
「うちの馬鹿者どもが、なんだかごめんねぇあと制服キマってるよぉ。」
「まったくで…………、
ウィスタリアがまた固まった。
「なんでそんなサラッと言ってしまうんですか!?」
「言わされるの癪だし
「〜〜!///」
ウィスタリアはまた顔を赤くして強引にきはだの手を掴むと、そのまま水族館へと入っていった。
(さりげなく言った方が本心って感じがするって言い損ねたけど、まぁいっか。)
水族館に入ると、水中への没入感をふんだんに醸し出すブルーの照明が水に反射して暗い壁に幻想的な波紋を映し出していた。
「お〜、正に水中だねぇ。」
「キハダさん、来るの初めてですか?」
「水族館なんて、ちっちゃい頃以来だよぉ。」
「ノスタル爺、ですね♪」
「なんか老けてない?」
ウィスタリアはおニューの制服に波紋のイルミネーションを映してはしゃいでいた。
「ちょうど映るねぇ。」
「まさか、キハダさんはこれも計算の内……!?」
「ないない。」
「そーですか……。でもこれはちょっとお得ですね♪」
「だねぇ♪」
2人は開園間もない水族館を悠々と歩いていった。
「ときに、きはださん?」
「ん〜?」
「どうして水族館を選んだんですか?」
「あ〜、それはねえ……。」
きはだはスマホの画面をウィスタリアに見せた。
「いっぱいいますね……。」
「それ魚とかに言うリアクションだねぇ。」
きはだが見せた画面には、お揃いの水族館のクソダサTシャツを来て所狭しと映り込むきはだ、あさぎ、ひいろ、みどり先輩、白ちゃんとモーラの写真が表示されていた。
「きはださん、嘘つきましたね……?」
ウィスタリアの顔が不機嫌になった。
「嘘?」
「どぅぉぉぉおお見ても行ってるじゃないですか、水族館……!」
「ところがどっこい、きはだちゃんはハブられたんだよなぁ……。」
「え?」
「このクソダサTシャツはお土産なんだけど……、なんと知り合いどもがきはだちゃんを置いて温泉旅行なんぞに行きよったのさ。」
「oh…」
「んで、その寄り道の水族館でこのクソダサTシャツ買ったんだと。」
「それはひど……ん?」
ウィスタリアはきはだのスマホを両手でホールドし、顔を近づけて険しい顔になった。
「どしたの?」
「ジョーレンさん……。」
「あ"……。」
きはだはウィスタリアの言う本屋むらさきの常連さんがあさぎとひいろであることを知っていながらウィスタリアに今まで話していなかったことを思い出した。
「……いずいっと、じょーれん……さん?」
「こっちがカバー爆買いの方で、」
ウィスタリアは写真のひいろを指差した。
「こっちがタイトル朗読の方です。」
ウィスタリアは続けてあさぎを指差した。
「やっぱりかぁ……。」
きはだは確信が真実に変わり頭を抱えた。
「何故黙ってたんですか?」
「いや、その…………、心のどこかで、違っていてほしかったなぁ…………、と。」
「……………………心中お察しします。」
しばらく2人の周りはチャプチャプと水が跳ねる音を除いて、一切の沈黙に包まれた。
「と……とにかく!キハダさんがここに来たい理由はわかりましたし、今は楽しみましょー!」
「優しさが身に染みるぅ……。」
2人が水族館を進むと、浅瀬の生き物と触れ合えるコーナーに辿り着いた。
「ナマコだぁ。」
「ナマ……ッ!?///」
「酢でしめるとコリコリ美味しいみたいだけど、
「コリ……、
「本当か……、ウィスタリアちゃん?」
「はっ!?」
「……何考えてたのかなぁ〜?」
「さ……さあ?何でしょう……!?」
ウィスタリアがテンパって手頃なサイズの太ましいナマコを握る手つきは、ウィスタリア自身の頭の中を体現しているようだった。
「……。」
「……つ、次!行きますよ……!///」
「はぁ〜い。」
館内の各所を巡り、段々とレストランに人集りができ始めた頃、きはだとウィスタリアは屋外通路の脇にあったベンチに腰を下ろした。
「ふぅ〜。少し歩き疲れちゃったねぇ?」
「はっ!?すみません、ついはしゃいでしまったばっかりに……。」
「良いの良いの。『つい』はしゃげるくらい喜んでくれたなら本望だよぉ。」
「『本望』って……、キハダさん死んでしまうんですか!?」
「きはだちゃん、武将じゃないよぉ?」
「下天のうちは……、
「くらぶらぬ。」
「そーですか♪」
「いちごパンツの本能寺だねぇ。」
「な、なんて下品な……!?」
「語呂合わせなんて、覚えちゃえば正義なのさ。……品性など捨て置けぃ!」
「覚えちゃえば正義……、むむむ。」
ウィスタリアはきはだのボケに対して、険しい顔をして唸り思考を巡らせていた。
「……あんまり本気にしちゃダメだよぉ?」
「いえ!確かによく売れる本はタイトルが過激なものもありますし、『覚えちゃえば正義』は真理なのかもしれません……!」
「そ、そなの……?」
「はい♪この間入荷した『11(いい)よ 5(ご)っ9(く)ん♡平治の乱』も
「ブフ……ッ!?」
きはだは吹き出した。
「今思えば……キハダさん?」
「ん"ん"……ッ、お仕事に真面目なのは偉いことだけど、きはだちゃん男色はちょっと……。」
「そーでしたか……。」
「なんだかウィスタリアちゃんの高校生活がちょ〜っと心配になって来ちゃったぁ。」
「もしかして、このレベルでもアウトでしたか……?」
「アウト……、こういうお話は親しいお友達とだけしようねぇ?」
「なら問題ないです♪わたくしがエッチな本の話をするのはジョーレンさんとキハダさんだけですから♪」
「なんて不名誉なんだぁ……。」
「ごっくんと言えば、
「言わないの。」
「そろそろお昼にしませんか?ちょうどここなら飲食もできるみたいですし♪」
ウィスタリアが指差した看板には『飲食可』の文字が複数の言語で書かれていた。
「だねぇ。水族館に来たのに、すっかり話し込んじゃった。」
「……わたくしは、好きですよ。」
「うんうん。」
「……少しくらいどーよーしてください。」
「熊さんに出会うやつぅ?」
「……ふんっ!」
ウィスタリアは大げさにそっぽを向いて背中をきはだの肩にくっつけた。
「まあまあ、きび団子じゃないけどお弁当食べよ〜よ。」
「ペットじゃないけどいただきます。」
「はいはい♪」
お弁当を食べた後も、結局この日はほとんどの時間をベンチで過ごした2人であった。
ウィスタリア、きはだ(2)
ウィスタリア:新しい待ち受けです♪
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きはだ:お〜
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きはだ:おい
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きはだ:こら
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ウィスタリア:好きなの待ち受けにしていーですよ♪
きはだ:まとめて送らんかいっ!!
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ウィスタリア:え〜、この方が大きく映るのに……
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きはだ:トーク画面がうるさい
ウィスタリア:そんなぁ……
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きはだ:あとちょいちょい小出しにしないの!
ウィスタリア:チラッ…
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ウィスタリア:ごめんなさい
ウィスタリア:もうしませんから
ウィスタリア:きはださん……
きはだ:なんだいなんだいお風呂入ったらしょげよってからに
ウィスタリア:お風呂上がり……!?(きはださん!)
きはだ:活字じゃないとできないやつだぁ
ウィスタリア:バスローブ(素敵な文化ですよね♪)
きはだ:残念ながらごくごく一般的なパジャマなんだなぁ……
ウィスタリア:お揃いのパジャマもいーですね!!
きはだ:きはだちゃんのパジャマはお揃い難易度トップクラスだよぉ?
きはだ:[画像を送信しました]
ウィスタリア:新しい待ち受けです♪
ウィスタリア:『画像を保存しました』
きはだ:おいこら
ウィスタリア:代わりと言ってはナンですが
ウィスタリア:[画像を送信しました]
ウィスタリア:クソダサ水族館Tシャツお揃いです♪
きはだ:お出かけ先のテンションでつい買っちゃうけど、外にはちょっと着ていけないもんねぇ
ウィスタリア:結局部屋着になってしまうんですよね♪
ウィスタリア:ところで、
ウィスタリア:ときに、きはださん
きはだ:よし!寝る時間ダァッ!
ウィスタリア:↑を見て言うことはありませんか?
きはだ:キツイっす……
ウィスタリア:確かにデザインはきっっついですけど……!ほら!他に
きはだ:もうワンサイズ大きくて良いんじゃないかなぁ
ウィスタリア:キハダさんとお揃いが良かったので
きはだ:怖ぁ……
ウィスタリア:因みにわざとワンサイズ小さいのを着ることでボディラインが……!?
きはだ:おん?今『ちっちゃい』っつったか……?
きはだ:一寸の虫にも五分の魂なんだぞこらぁ!
きはだ:人間が今地球にいられるのは祖先がちっちゃいネズミだったからなんだぞこらぁ!
きはだ:大量絶滅何回も生き延びてる微生物のがいだいなんだぞこらぁ!
ウィスタリア:キハダさんは偉大な方だと思いますけど……
きはだ:そっかぁ♪
ウィスタリア:それはさておき、
ウィスタリア:ほら、『か』……!?
ウィスタリア:『か』『わ』……!?
きはだ:カワウソいなかったねぇ
ウィスタリア:確かにいませんでしたけども!
きはだ:きはだちゃんに『可愛い』と言わせようなぞ10万光年早いわぁ……ッ!
ウィスタリア:くっ……!
きはだ:まずは綺麗を捨てるとこからだねぇ
きはだ:おーい?
きはだ:おやすみzzZ




