迷惑かけてごめんね! さようなら。
ーーそうか思い出した。 私が全部やったんだね。
そう、私がこの学校を廃墟にした。
エターナルパーフェクトーー邪神のなり損ないの私がーー
あの儀式はどうやら完全じゃなかったんだよね。
それもそうか。 だって私だけだったから。
アイツーー悪霊は私を転送した後、完全に私と同化した。 もはや、アイツの意志はどこにも残ってない。
あるのは、私の虚しさだけ。 虚しくて、悔しくて、仕方がない。
どうにもしようがない心だけ。 体は、邪神もどきになってしまった私。
ただ、廃墟に立ちすくむだけ。 その時、あの二人がやって来た。
「よくも学校を廃墟にしてくれましたね!」
「ことねを返せ!」
『グブ、ブグ』
ーー駄目だ言葉がでない。 もう、どうすることも出来ないよーー
桐原彩乃が、札を取り出す。 湊が、小刀を構える。
「俺が突っ込むから、彩乃は援護して!」
「わかった!」
私の前に湊が突っ込んで来る。
ーーああ、湊。 私はただ、貴方に一人の人間として見てもらいたかっただけだったのに。 私は、いつの間にか変になってたんだね。
学校も全壊させちゃたし、誰もみんな許してくれないよねーー
桐原彩乃が投げた札が私の体を焼く。 その場所に湊が小刀を入れる。
『ブグ、グブ』
情け無い呻き声をあげることしか出来ない私。
もう、抵抗する気さえ起きなかった。
ふと、体を見れば、霊気によって、体が光って消えかけていた。
そして、体が消えた時、私の魂だけが残った。
「ことね! まさか、邪神の正体はことねだったのか⋯⋯」
「湊! 自分を責めては駄目! ⋯⋯私たちのしたことは正しかったの!」
『迷惑かけてごめんなさい。 さようなら』
私は最後に言いたかった言葉を言えて満足した気持ちだった。
例え、その言葉が伝わっていなくてもーー
「⋯⋯あれ、もうこんな時間だよ! そろそろ行こっか!」
「ことね⋯⋯俺、思ったんだけどさ。 俺たち幸せだな!」
「そうだよ! 原作のことねが知ったら、怒って暴れるくらいね!」
「ところで、どうしてことねは無事なのかな?」
「酷いよ! 湊は私に邪神になって欲しいの?」
「⋯⋯いや、単純に気になっただけだよ」
湊はことねの顔を見つめる。 ことねは、顔をぷくぷくさせていた。
「悪霊の声ね⋯⋯ずっと聞こえてた。 実は、夜にこっそり祠にも行ったよ!」
「え! ⋯⋯おいおい。 なにやってんだよ!」
「ごめんね。 だけど、札も触らなかったし、それに多分、悪霊は私の体には入って来れないよ!」
「⋯⋯それは、どうして?」
「ふふ、だってここには既に二人、いるんだもん!」
湊は視線をことねに向けます。 ことねは話しを続けます。
「物事ついた頃から違和感があったんだよね、心が二つある気持ち。 私が孤独だって思っている時に、『そんなことないよ!』ってもう一人の私が囁くの! それが当たり前だとずっと思ってた」
ことねは、湊を見つめます。
「でもね、あの日わかったんだ! 私の心にいた、もう一人も、私だって」
「前世の記憶を思い出した日のことか?」
「うん! ⋯⋯だからそろそろ、私とはさようならなんだ⋯⋯」
湊はギョッとした視線をことねに向けました。
「さようなら? それはどう言う?」
「勝手に体に入ってごめんなさい。 迷惑だったよね。 私はそろそろいなくなるから私と楽しくやってね!」
「⋯⋯おいおい。 さっきからよくわからないぞ! 『ことね』は『ことね』じゃないか!」
「ありがとう! それが、私の聴きたかった言葉だよ! ⋯⋯さっきは全然答えてくれなかったもん⋯⋯さようなら」
そう言うと、ことねの体から、小さな光が出てきました。
二人は、それが見えなくなってもしばらく見つめてました。
「よし、じゃあ行こう!」
「⋯⋯おいおい。 結局なにも変わってないような気がするんだけど?」
「うん! 私は私の影響を受け過ぎたみたい。 だってあっちは前世の記憶ありだよ! 最近まで、記憶がなくたって、長生きしてるのはあっちだし、性格も引っ張られるよ! ⋯⋯湊はこんな私、嫌い?」
「大好きだよ! 大好きだ!」
こうして、二人だけの静かな文化祭が幕を閉じるのでした。




