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原作では破滅の運命の悪役女性! ⋯⋯でも色々違う気がします?  作者: Masa(文章力あげたい)


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5/11

とある、昔の話

 朝の住宅街の中を颯爽とジョギングする女性がいました。 すれ違う散歩する人たちにニコニコ挨拶を返す元気な女性ーー川端ことねです。 彼女は日課のジョギングをしているところでした。


 「おはようございます!」

 「おはよう、ことねちゃんはいつも朝から元気だね~」

 「ありがとうございます!」


 道行く人たちに声をかけることね。 毎日同じ時間に外に出ているので会う人は覚えています。


 しかし、ふと道端を見ると蹲っている女性がいました。 ことねは声をかけます。


 「どうかしましたか? ⋯⋯すごい顔色悪いですね。 大丈夫ですか!」

 「助けて⋯⋯誰か⋯⋯」

 

 耳を澄ませば彼女の声が微かに聞こえますーーどうやら疲れているようです。


 「初心者さんかな? あんまり無理しないで! 最初はマイペースが一番なんだから!」

 「⋯⋯え?」

 「? だから、運動を始める時は無理したら駄目だよ~、ほらここで蹲っていたら、危ないから! そこの公園のベンチに行こ!」

 

  ことねは、呆然とこちらを眺める女性を、ベンチに誘導しました。 彼女は意識が虚のようで、口がぱくぱくしていました。


 「どうしらいいのかな? 病院とか⋯⋯」

 「駄目! 病院なんて! 誰も私のことなんて信じない!」

 「うん? そうなの、大変だね⋯⋯」

 「⋯⋯そうだわ、誰も私のことなんて! それより、早く! 忘れる前に! 何か書く物があれば⋯⋯書かないと⋯⋯」

 

 彼女は持っていたカバンをぶち撒けました。 そして、ノートと鉛筆を持って文字を書き殴り始めました。

ことねはその様子に驚きながらも、彼女が落とした荷物を拾いました。


 「⋯⋯落ちてる物は全部、拾ったかな? あの、ごめんね。 名前と住所見ちゃった⋯⋯彩乃ちゃん」

 「⋯⋯私は⋯⋯⋯⋯⋯この⋯⋯⋯⋯を⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯」

 「⋯⋯聞こえてないみたいだね。 なにがあったかよくわからないけど⋯⋯大丈夫だよ! だって私たち生きてるもん。 生きていたら、きっといいことあるから!」

  「⋯⋯いいこと?」

 「あ! 反応してくれた! シカトされるから寂しかったんだよー」


 ことねは安心した、とばかりに表情を緩ませます。 その彼女は相変わらず文章を書いていますが、心なしか先程までの焦燥感は薄れていました。


 「それにしても、彩乃ちゃん文字が綺麗だね! いいなぁ~、私もこんなに綺麗な文字書けたらいいのに⋯⋯? あれ? 寝ちゃた?」


 やがて力尽きたのか、彩乃は寝てしまいました。 ことねは、彩乃をおんぶします。


 「ふふ⋯⋯さすが私、力持ち! えっと⋯⋯彼女家は、すぐそこ!」


 そして彩乃の家のインターホンを鳴らしました。 出て来たのは、彼女にそっくりな妹でした。


 「お姉ちゃん! 朝起きたらいない、から心配してたんだよ!」

 

 妹さんの話しによると彼女は今、妹と二人暮らしで生活しているらしい。 ⋯⋯あまり人の家庭には首をツッコンんでしまうのはよくないが、心配になることねであった。


 「昨日の晩にお姉ちゃんがノートを買いに行くからって、一人でいっちゃたの! その後、目が覚めたら朝で、お姉ちゃんにおはようって言うつもりだったの。 だけど居なくて⋯⋯」

 「⋯⋯そうだったんだ。 ⋯⋯それはごめんね舞香ちゃん。 私が彩乃と一緒に寝ようって言ったの」


 姉が一晩中、路地の隅で蹲っていたと言う事実を言う訳には行かないーーことねは嘘をつく。


 「⋯⋯もう、そう言うことなら許します! いつも私を心配させるんだから⋯⋯」

 

 何かを察した舞香は、深くツッコまず、安心したそぶりを見せる。 その後、ことねは彩乃を布団まで運んだ。


 「すごいね、お姉ちゃん! そんなに私と年は離れてないのに」

 「ふふ、鍛え方が違いますから! ⋯⋯よしそろそろ失礼するね」

 「ありがとう、親切なお姉ちゃん」

 「私の名前は、川端ことねだよ! またね!」


 家を出て彼女は空を見上げます。 今日もいい一日になりそうです。


 「⋯⋯あれ? ここ家?」

 「お姉ちゃん! 起きたの? お寝坊さんですね~。 ⋯⋯夢でも見ていました?」

 「おはよう、舞香。 これはノート! ⋯⋯夢じゃなかったんだ」

 「お姉ちゃん?」

 「あ、なんでもない! ⋯⋯それよりも朝ご飯にしようか!」

 「⋯⋯うん! お姉ちゃん、私もうお腹空いちゃたよ」


 

 

 


 


 

 

 

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