『理想の信者』2
「こんにちは、ことねちゃん」
「おばさんは誰?」
「お嬢ちゃん! おばさんじゃなくて、お姉ちゃんだよ!」
「⋯⋯お姉ちゃんは誰?」
「ふふ、内緒!」
「え! お姉ちゃん意地悪!」
幼い頃、何度か会って話したことがあった。
会った時はいつも、ニコニコしてていいな、と思っていた。
ーーそんな彼女が私の前で怒った表情で睨んでる。
私は彼女がこれから、どういう反応をしてくれるか楽しみだった。
「校長先生、先程は二人で面白い話しをしていましたね。 たしか⋯⋯校長が誰かを処分すると」
「⋯⋯私が、今川先生を処分いたします」
「な! 校長先生! どう言うことですか!」
「黙りたまえ! 君には学校を退職して貰います」
「そんな! 嘘でしょう! 校長!」
ああ、絶望しているわ! ーーさあ、私に怒って! 私を怒って!
「⋯⋯わかりました。 もうこの学校に居ても仕方ありませんからね」
そう言って彼女は私の方には、一瞥すらしないで校長室を去っていった。
「なんなのよ! 一言ぐらい何か言いなさいよ!」
「落ち着いてください! お嬢様!」
私はしばらくの間、校長室で暴れるのであった。
そして、次の日には今川幸子は、いなくなってしまったのだった。
ーーすべては私が決めたこと。 それなのに私の心はモヤモヤしていた。
「⋯⋯お嬢様、⋯⋯現在も桐原彩乃は意識不明のままです⋯⋯」
「そう、それはお気の毒さまですね⋯⋯しかし、とても良い口実が出来ましたわ」
「⋯⋯口実?⋯⋯」
「ええ、素晴らしい口実ね!」
私はこの学校の体育大会と言うイベントが気に入らなかった。
一致団結? みんなで仲良く? 気に入らないわ!
しかし、校長にいくら頼んでも、体育大会は中止にならなかった。
この私が、指示を出しているのに! 操り人形無勢が!
しかし、今回のことで、風向きが変わったわ!
「⋯⋯今回、開催予定だった、体育大会は中止いたします⋯⋯」
全校生徒が集まった体育館に、校長の弱々しい声が響く。
生徒たちは野次を飛ばして、校長先生に文句を言う始末。
ーーまったく威厳のないのね。
『さて、どんな余興が起こるかな?』
「静かに」
私は悪霊の力を借り、生徒たちを黙らせる。
そして、当然の事実をただ淡々と話す。
「当然ですわ、負傷者が出たんですもの。 桐原彩乃は数日経った今も意識が戻っておりません。 怪我人が出た行事を中止にすることは当然ですわ。 負傷者は、桐原彩乃一年。 ⋯⋯私のクラスメイトでした。 原因は加害者の怠慢です。 ⋯⋯彼は今頃なにをしているのでしょうか? ⋯⋯ね、みなさん?」
静まる体育館が、体育大会の中止を決定させた。
ーー誰も私のことは止められないのねーー
私は心の中で一言呟いた。
「みなさん、お久しぶりですね。 おかしいですね⋯⋯前回話していた時より、人数がだいぶ減ってますね。 ああ、わかりました。 風邪ですね。 季節の変わり目ですからね、皆さんも体調管理してくださいね」
私は生徒会長就任の演説でとぼけたフリをした。 生憎誰にも受けなかったが。
ーー私の邪魔をする生徒たちは消した。
倉石瑞稀は私に脅されたショックで引き篭もりになった。
榊原結衣公認会計士は適当に、仕事を投げつけて学校に来れない様にした。
田中幸子は適当に、あしらったら泣き出して、それから引き篭もりになった。
柳田健太? アイツは問題外。 周りの同級生たちは辞めたわ!
立川竜也と新田善子は目障りだから、転校させたわ!
その他、私に逆らう者はみんな消えてもらった。
「改めてまして、こんにちは。 この度、生徒会長に主任した川端ことねです。 よろしくお願いします。 さて、貴方達に理解してもらいたいことがあるの⋯⋯今日から貴方達は私の理想のための駒になるの! 貴方達の自由、人権、休日はなくなるわ。 貴方達はただの生きる屍になるの!」
ーー頭を傾げているわね。 私は頭の悪い生徒たちに告げた
「みなさんには、これから毎日登校してもらいます。 毎日、朝から、日付が変わるまで学校生活を送っていただきます。 イベントは全部廃止! ⋯⋯もちろん長期休みなどありません。 体育祭も文化祭も、生徒の自主性を騒ぐだけの無駄。 そんな無駄は、私の学園には不要よ。 次に、学ぶ者が遊びを求めるなど、認めない。 この学園は、私が王! その国民である貴方達に休む権利はないの!」
ーーふふ、生徒たちの顔が苦痛に歪んでいるわ!
『いいぞ! 川端ことね!』
「さて、誓いの証として、跪いてもらいましょ⋯⋯さあ、早く!」
私は悪霊の力を使い生徒たちを跪かせた。
生徒達はこの状況は訳も分からないだろう。
私は、この快感に酔いしれていた。
そして、深夜の部屋の鏡の前で悪霊と会話をする。
「ついに、叶ったわ! 私の理想が⋯⋯」
『よくやった、川端ことね、さすが、私の優秀な駒だ』
「はい、私はやり遂げました⋯⋯ですがまだこれからです。もう暫くお待ち下さいませ」
『いいぞ! ハハハハ!』
もう少しで私の願いわ叶う。 だから、待ってね湊。




