仮初の勝利!
朝の体育館に全校生徒たちが集まりました。 文化祭の始まりです!
まず最初の催しは、全校生徒のじゃんけん大会です。
そして、これから最後まで勝ち残った二人の最後の戦いが始まります。
『じゃんけん大会最後決戦! 川端ことね選手VS桐原彩乃選手の対決だ! ⋯⋯果たして、優勝するのはどっちだ!』
「⋯⋯なんなのかしらこれって?」
「負けないよ! 彩乃ちゃん! 私が勝からね!」
「⋯⋯私なにをしているのかな?」
「なに言ってるの? 彩乃ちゃん! 最後決戦だよ!」
『さあ〜、これが〜、さいごだよ〜、みんなで〜、おおえん〜、しよう〜』
「頑張れ二人とも!」
「さすが、湊! 両方を応援するんだね!」
「え?⋯⋯違う! ことね頑張れ!」
「ねえ、湊が頑張れだって! ⋯⋯彩乃ちゃん、悔しいでしょ?」
「あんなハレーム野朗どうでもいいんだけど⋯⋯」
『頑張れ! 彩乃!』
「⋯⋯別にアンタに応援されても嬉しくないんだからね!」
「あれ? 健ちゃんが好きなの? ⋯⋯ライバル多いけど大丈夫?」
「うるさい! アンタには関係ないでしょ! さっさと構えなさいよ!」
「よーし、じゃあ私、グーを出すね!」
『おっと、川端選手! 桐原選手に揺さぶりをかけて来た!』
会場はまさかの事態に大盛り上がりの様子です。
「はあ! なんのつもりよ! ⋯⋯私を揺さぶろうってんの!」
「ふふ、さて⋯⋯どうかな? もしかすると、嘘をついているかもよ?」
「なんですって! そんなの反則よ!」
『心理戦も勝負の内⋯⋯既に此度の戦いは決しておるぞ』
「なによ! あの解説の中二病!」
「まあまあ、彩乃ちゃん、落ち着いて。 自分に正直になろうよ!」
「⋯⋯決めた! 私絶対に勝つわ!」
「うんうん。 とってもいいかんじだね! さあ、いくよ!」
『最初はグ! じゃんけんポン』
「うぐ! グアアア」
「悪霊⋯⋯ここはアンタの場所じゃない! 今すぐに消滅せよ!」
桐原彩乃が札を川端ことねの顔面に押し付けます。 すると、川端ことねは苦しみの声を出しながら、周りを見境なく攻撃し始めます。
「小癪な技を! この体がどうなってもいいの?」
「⋯⋯! アンタこそどう言う意味よ!」
「ハハハ、なにも知らないのね」『俺様が離れるとコイツの体がどうなるかな?』
「アンタ、宿主になにをしたの!」
『ハハハ! 俺様はただ事実を言ったまでだ!』
そう言うと、川端ことねから、悪霊が飛び出して来ました。 悪霊は空中を桐原彩乃を挑発するように、泳いでいます。
「ことね! しっかりしてくれ!」
「湊。 ⋯⋯私のこと好き?」
「それは⋯⋯」
「わかってた⋯⋯。 ごめんね、だから嫉妬しちゃた⋯⋯」
「すまない、ことね!」
高坂湊は川端ことねをその場に置くと、桐原彩乃の横に並びました。
「俺が奴を引きつける! 彩乃はその札で奴に止めをさしてくれ! 奴はかなり弱体化している! 俺たちの希望の力のおかげでな!」
『弱い雑魚の癖に、邪神様の信者である俺様を、祓おうと言うのか! その口、塞いでくれよう!』
悪霊が黒い霧状の触手を無数に繰り出します。
高坂湊はそれを、隠していた小刀で切り伏せます。
『グアアア! 糞ガキ無勢が!』
怒り心頭の悪霊が、湊に襲いかかります。
「今だ、彩乃!」
『なに! しまった!』
彩乃が悪霊の額にお札を貼り付けてます。 悪霊はもがき苦しみます。
「やったか!」
「悪霊め! 成仏するのです!」
悪霊がどんどん萎んでいきます。 二人は勝利の喜び抱き合いました。 しかし、
『感じるぞ、⋯⋯ハハハ。 やはり最高だ! 絶望の味は⋯⋯』
悪霊が揺蕩う先は、川端ことねの前でした。
悪霊はことねを空中に浮かせ、そのまま彼女ごと消えて行きました。
二人は咄嗟のことにどうすることも出来ず、固まるしかありませんでした。
『やったぞ! 独裁生徒会長を倒したんだ!』
そんな二人を他所に、全校生徒たちは二人の勝利を喜びました。
ーーこれから本当の戦いが始まることを知らずにーー




