真相! 今年も帰ってきたよ⋯⋯
ことねは、数多く建てられているお墓の中、目の前のお墓をじっと、見つめていました。 その墓は、とても立派で毎日、掃除されているのがよくわかります。
「ここが、桐原家の墓なんだね⋯⋯」
「そうだよ⋯⋯ここに私たちのお父さんとお母さんの骨が入ってるんだ」
舞香はそう言うと、柄杓でお墓の墓石に水をかけます。 彩乃は線香に火をつけて、設置しました。 そして、三人揃って手を合わせました。
「お父さん、お母さん。 今年も帰ってきたよ⋯⋯」
「今年はね、二人に紹介したい人がいるんだ! 私とお姉ちゃんの友達!」
「初めまして、川端ことねと申します。 二人とは、春から仲良くさせていただいております」
「⋯⋯アンタが、そう言う感じで喋るの違和感しかないわよ!」
「えぇ? 私、彩乃ちゃんにどう思われてるの?」
「こんな感じで私たち仲良しなんだ! 他にも、みずちゃんや、ミウミウ、健ちゃんもいるんだよ!」
舞香が嬉しいそうに、新しく出来た友達の紹介をしているのを見て、彩乃とことねは少し恥ずかしくなりながらも、微笑み合うのでした。
「わあ、これが彩乃ちゃんの小学生の頃の写真! かわいい!」
「ちょっと! 恥ずかしいから、見ないでよ!」
美紀子さんが持って来たアルバムを、楽しいそうに見ることね。 その写真には、小さい頃の彩乃や舞香の写真がたくさんありました。
「これはね、彩乃ちゃんが自分の年を指で示している写真だね」
「わあ、かわいい! 体がプニプニだ! 今の彩乃ちゃんはガリガリだけど」
「なによ! プニプニでも、ガリガリでもどっちでもいいでしょ!」
「舞香ちゃんもかわいいな!」
「もう! ことねちゃん、私は今もかわいいでしょ!」
そう言うと彩乃と舞香はことねからアルバムを奪い取りました。
「あぁ! 私の彩乃ちゃんと舞香ちゃんが⋯⋯」
「もう見なくいいわよ!」
「ことねちゃん、過去の私より、今の私を見てよ!」
そんな、三人の様子を美紀子は、微笑みながら見ていました。 ーー善子。 貴方の子供は元気ですよ、これも貴方が命懸けでこの子たちを守った結果ですよーー
「今から五年前。 桐原彩乃と舞香に悪霊に取り憑かれた。 霊感が強いと言うことは、悪霊を感じ取りやすくなる。 ⋯⋯その逆も然りと言う訳だな。
「つまり、二人は悪霊にとっては格好の餌。 ⋯⋯しかもそれが、碌な対抗手段も得ていない、少女なら⋯⋯狙われるのも当然だと」
「その日、彼女達は村から離れていた⋯⋯ちょっと都会へ遊びに出かけたのだろう。 そこで悪霊に憑かれてしまったようだな。 そして数々の犠牲⋯⋯」
「つまり、自分たちの命を犠牲に、子供たちを助けたと⋯⋯親父、疑問がある」
「今の二人には、霊感を感じない⋯⋯それは何故か。 そして、そんな彼女たちがこの土地にいる理由は何故かじゃな。 健太よ、儂らはとんでもない結論に辿り着きそうじゃのう⋯⋯」
秀五郎はそう言ってお茶を飲もうとするが、既に中は空だった。
ーーやれやれ、儂としたことが、焦っておるのうーー
「ミウミウ⋯⋯また反則した。 インチキは駄目ですわよ⋯⋯むにゃ」
「舞香は寝たわね。 私たちも寝ましょう。 明日には帰るから⋯⋯」
「そんなに早く帰らなくても。 美紀子さんが喜ぶと思うけど?」
「あの人は知り合いであって、家族でも親戚でもないわ。 ⋯⋯舞香はともかく、私にとってはね」
彩乃が見せる表情は、複雑な心境を表していた。 美紀子にとっては二人とも、親友のかわいい子供。 舞香にとってはとても親切なおばさんだろう。
しかし、彩乃は違う。 前世の記憶を取り戻した時、私はこの世界と違う人間になったのだ。 例えその記憶が断片的でも、今はもう薄れてしまっていてもーー
「⋯⋯だから⋯⋯私は⋯⋯一人⋯⋯お母さん⋯⋯お父さん⋯⋯見てて⋯⋯あやのさんさいなの⋯⋯ゆびですうじ⋯⋯だしてるの⋯⋯ほめて⋯⋯」
「うん、彩乃ちゃんは偉いね! 自分の年齢を表現できるんだね」
「⋯⋯うれしい⋯⋯っふふ」
「彩乃ちゃんはやっぱり笑顔の表情が一番だね!」
微笑む、彩乃の頭を起こさないように、優しく撫でることねでした。




