集結? 生徒会会議!
学校の一室、生徒会議室に集まる面々たち。 今日は、新生徒会の一回目の会議の日だ。 今回参加するメンバーの全員が入って来たところで、本日の司会進行者であり、新生徒会長の倉石瑞稀が、黒板に文字を書く。
『生徒会長・ 倉石瑞稀』
『マスコット・ ミウミウ』
「本日は後残りの枠を決めたいと、思います!」
「ちょっと待ちなさい! なんで私は内定なんですの! しかもマスコットって⋯⋯」
「まず初めに、書記を任命します! ワルザべスさんでお願いします!」
「え! 私? 本当に? 倉石会長、ありがとうございます!」
そう発言したのは、左目に眼帯、右腕に包帯を巻いた女性だった。
「正気? なんであの中ニ病を採用するの?」
「え? 知らないの? 彼女は世界グローバル書記コンテストで一位の実力者ですよ」
「なんですか? 初耳ですよ、そんなコンテスト⋯⋯」
「ふむ、⋯⋯心配するな、ミウミウ! 我のスキルを披露してやろう!」
そう言うと彼女は、黒板に次々に書き込んで行く。
理想学園・エターナルパーフェクト
『信仰者・倉石瑞稀』
『供物・ミウミウ』
『奏者・ワルザベス』
「うむ、完璧だな!」
「はい! 完璧ですね、さすがです! さて続いては⋯⋯」
「異議ありですわ! 勝手に私を供物にしないでください! 信仰者と奏者ってどう言う役割なんですか? 後、エターナルパーフェクトってなんですか?」
「もう、ミウミウ! 細かいことを気にしたら、キリがないよ!」
「おかしいと認めてるじゃないですか!」
「次は会計ですね。 ⋯⋯会計は榊原結衣さん!」
「は~い、どうも~、みなさん~、こんにちは~」
「「「こんにちは!」」」
「あれれ? ミウミウ? どうしたの~、声が聞こえないぞ~」
「こんにちは!⋯⋯完璧な人選ミスですわ! 彼女に会計が務まる訳ありません!」
「え! 知らないの? ミウミウ? 榊原結衣先生は公認会計士ですよ」
「なんですって! 天才なんですの!」
「も〜、てんさい~、なんて~、てれちゃうぞ~」
そんな様子の、榊原会計とマスコットの櫻井をスルーして、書記の田中は『挨拶・榊原結衣』と黒板に書いたのだった。
「次は総務だね! 柳田健太さん! お願いします!」
「やれやれ⋯⋯やっと俺様の出番か⋯⋯待ちくたびれたぜ!」
「終わりましたわ! この学校⋯⋯こんなチャラオに総務が出来る訳⋯⋯」
「甘いですね、ミウミウ!」
「な、まさか、彼も特殊なんですの!」
「理想学園の裏に柳田家ありと、言われるほどの、この土地の裏番長ですよ。 当然彼もその血を引いて数々の企業を成功に導いたプロ。 ファンは、彼が救った企業の女性たち、ガードマンは男性!」
「⋯⋯今日はみんなバックヤードで俺の活躍を聞いてくれてるぜ!」
『頑張って柳田様!』
「みんな、いつも応援ありがとうな!」
「とんでもない集団の集まりでしたわ⋯⋯」
書記の田中は会議の内容を書き込んでいく。
理想学園生徒会 テーマ・自由ファーストの楽園を創造する!
エターナルパーフェクト 教団メンバー
『信仰者・倉石瑞稀』
『供物・ ミウミウ』
『奏者・ワルザベス』
『挨拶・榊原結衣』
『番犬・柳田健太』
・文化祭のアップデート
・来年、帰宅部新設
・持ち物の自由化
・推活月間開催
・推活部予算向上
・放課後の自由行動の寛容化
・スローガン五・七・五 『ズル休み、みなで休めば、怖くない』
・漆黒の教団集会開催
・ミウミウと戯れよう! 開催 司会者 榊原結衣
・柳田健太ファンクラブ設立
・目安箱を校内に108ヶ所設置
「ふぅ、熱い議論でした。 先輩方ありがとうございます! これからよろしくお願いします!」
「うむ、任せるとよい! では、今宵の満月に吠えようぞ!」
「あ〜れ、おわり~、え~」
「やれやれ、時間と言うのはあっと言う間だな。 お前たちありがとな!」
「ブグク、ブグ」
そして、全員が窓から見える夕日を眺めるーーこれからの学校生活に期待しながらーー
満月の深夜、ナニカは、山中をライトもつけずに歩いていた。 格好は学生服のまま、しかし、身に纏うオーラが、ドレスを纏っている幻覚を見せていた。
やがて、山頂の祠に辿りつき、その前で祈りを捧げる。
「理想の体現者様⋯⋯間もなく準備が整います⋯⋯。 理想の信仰者が貴方様の封印を解除します」
『あまり、待たせてるなよ⋯⋯このエターナルパーフェクト様をな』
「はい、かしこまりました」
一方、満月を見上げながら、桐原彩乃は悩んでいた。 理由は、毎日のように面会に訪れていた、高坂湊が最近来ないことだった。 ゾンビのような彼だから、突然倒れることも、あるかもしれない。 そう自分を納得させようとするが、上手くいかなかった。 ふと、気付けば、最近は彼のことばかり、考えている自分に気付く。
ーーひょっとしてこれが、恋なのかも知れないーー
そう思うと、顔の温度が上がった気がする、自分に自然と苦笑いしてしまう彼女だった。




