変革? それよりも打ち上げだ!
病院の裏庭で、桐原彩乃は、ボーっとしていた。 どうにか、車椅子を使っての移動は出来るようになったが、まだ歩行出来るようになるのは、時間が必要ようです。
「高坂湊⋯⋯そこにいるんでしょう?」
「⋯⋯桐原さん⋯⋯」
桐原彩乃が、声をかけると、ヨロヨロと高坂湊が歩いて来た。
彼女が彼と会った日から、彼は毎日、彩乃の元に面会に来ていたのだ。 面会に来ては、遠くで私のことを観察する彼のことが気になり、声をかけるのだった。
「⋯⋯今日は貴方に伝えないといけないことがあります⋯⋯学校を退学してください⋯⋯」
「どういうことですか! 納得のいく説明をしてください!」
「⋯⋯お嬢様⋯⋯川端ことねが、生徒会長に就任しました⋯⋯これから変革が起こります⋯⋯貴方にはもう、学校に戻らないほうがいい⋯⋯」
高坂湊の話しを要約すると、新生徒会長は生徒の自由を束縛するから、貴方は逃げろとーー
「そんなに苦行なのですか! 川端ことねの要求は! 貴方はそれでいいと思っているんですか!」
「⋯⋯俺は⋯⋯俺のせいで⋯⋯お嬢様は⋯⋯だから⋯⋯」
「あーもう、焦ったいです! 貴方はどうしたいんですか?」
「⋯⋯俺は⋯⋯お嬢様を⋯⋯助けたいです⋯⋯」
「ちゃんと言えましたね、なら、二人でやって見せましょ⋯⋯痛い」
「⋯⋯貴方はまだ、治療必要⋯⋯」
高坂湊は、桐原彩乃が乗っている、車椅子を持ち、部屋の中に入って行きました。
「倉石瑞稀、新生徒会長に就任おめでとう!」
「ありがとう、ことねちゃん! あなたの応援のおかげです!」
「フグブ、フグ」
「⋯⋯ねえなんでここで打ち上げなの? どうして、やって来てそうそうに寝巻きになってるの!」
「みずちゃん、ことねちゃんゲームして遊ぼ! 今日は私が勝つから!」
ここは、桐原家。 今日はここで女性だけで、生徒会長就任お祝いパーティをしていた。
湊も行きたがっていたが「いや、まだフラグが立ってない」とか言って、行くのはやめたらしい。
ことねは、湊と離れるのを理由にして、いつもよりたくさんスキンシップをとって来たので満足だ。
「フグブ、グブ」
「お姉ちゃん。 このぬいぐるみの人誰?」
「⋯⋯まあ、終わったし、いいか。 よいしょっと」
「貴様! よくも私をマスコット扱いしてくれましたね! なにが自由のためだ、サボりたいだけのくせに!」
「っふふ、そう言うと思って敢えてあなたの口を封じてたの! 作戦成功だね!」
「美羽ちゃん! マスコットかわいいかったよ!」
「お嬢様が、そう言うなら⋯⋯」
彩乃は、嘆息した。 また原作と話しが変わってしまったのだ! いよいよ、訳がわからなくなってしまった。 戦う敵の正体はわかっているのに、どうも出来ない無力感が彩乃を襲うーー
「⋯⋯もう、また顔色が悪いよ、彩乃ちゃん。 なに考えてるの?」
「もういい! あなたに話しても無駄だから⋯⋯」
「そう⋯⋯。 彩乃ちゃん、あなたがなにを考えているか、わからないけど⋯⋯私にだって一つだけ譲れないものがあるの」
突然、真剣な表情で見つめてくることねに、目をまっすぐに見つめることで返す彩乃。
「絶対に私は、あなたに負けない! 湊は私の旦那様だよ!」
「あ、うん。 それは充分理解してる」
彩乃は、肩の力を抜いた、それを見たことねは、彩乃を優しい目で見つめる。
「な、なによ! そんな目で見ないでくれる! 保護者面しないでちょうだい!」
「はいはい、彩乃ちゃんはいい子、いい子」
そう言うとことねは、彩乃の頭を撫でる。 彩乃はすぐに振り払おうと思ったが、手の感覚が気持ちよくてそのまま寝てしまうのであった。
「よし! 勝ちました! また勝ちましたよ!」
「ミウミウ強い」
「ミウミウ大人げない」
「なんですか! この世界は弱肉強食ですからね! もう一回やりましょう!」
こうして、桐原家での一夜は過ぎていったのでした。
ここは山の山頂の祠の中、手入れがされず、長年忘れ去られていた。 古びた祭壇には今にも剥がれそうな札が貼られいた。 そこに眠るのは、かつてこの地に災いをもたらし、封印された悪霊がいる。
その封印はもうじき、破られそうだーー




