体育大会で優勝だ!
「さあ、始まりました。 理想学園伝統行事! 体育大会です。 司会は私、倉石瑞稀がお送りします! 相方は、我がクラスの応援マスコットの櫻井美羽さんです!」
「おい! 聞いてないぞ! なんで私が、こんなことをしないといけないんだ!」
「え~。 暇でしょう? マスコットだから、やることは立っているだけなんだからいいでしょ?」
「はぁ? ⋯⋯そもそも私は競技に参加希望だったんだが! どこかの怠惰な委員長のせいで、どの競技にも出場出来ないだけで⋯⋯」
「今年の優勝はどのクラスになるのか! 注目です!」
「第一種目はキックラン競争! ボールを蹴ってコースを一周! 素早い動きと、絶妙なボールテクニックが重要になってきますが、櫻井さん、どう思いますか?」
「⋯⋯なんでことね様が出場するのですか?」
「川端さんが運動神経抜群だからですよ!」
「スタート! お! 先頭は、川端選手! 早いですね、やっぱり私の目に狂いはなかった!」
「⋯⋯貴方、一応司会者なのよね? 私情がダダ漏れすぎじゃない?」
「そのまま、ゴールイン! 一位は川端選手! 我がクラスの優勝に一歩近づいた!」
「続いての競技はクラス対抗の綱引きです! 相手と持久力と忍耐力が求められます。 櫻井さんどうです?」
「⋯⋯ねぇ倉石さん、クラス対抗なのに、なんで私達は出ないの?」
「みんな頑張れ~! 声出してこ! エイ、エイ、エイ」
「無視された!⋯⋯」
「大玉転がし! 二人一組でゴールまで転がしてます! チームワークが重要な競技です! 櫻井感想は!」
「おい! この競技にも、ことね様が出場しているぞ! 明らかに彼女だけ多すぎでしょ!」
「え、だって川端さん、速いからさ~⋯⋯ね、いいじゃん~」
「いいじゃん~、じゃない! 倉石、今すぐに変更しろ! ⋯⋯私が出る!」
「さあ、川端、桐原ペア! 堂々の走りを見せてくれました。 お互い抱きしめ合っていますね~皆様拍手!」
「⋯⋯貴様! なんだこれは! 動けないぞ?」
「美羽さん⋯⋯あまり、ジタバタしない方が身のためですよ?」
「な! ⋯⋯私になにをした! 倉石瑞稀!」
「さあ、クラス対抗の玉入れです!。 飛翔力と、素晴らしいコントロールが要求されます! マスコットの美羽さん、どう思いますか!」
「⋯⋯なるほど、そう言うことか、倉石⋯⋯ 貴様! 私を共犯にして、運動をサボる魂胆だな!」
「あれ? バレた?⋯⋯勘がいいですね~。 貴方の認識を改める必要がありそうです⋯⋯」
「なんです? 気持ち悪いですね! 突然コッチを向いてニタニタして⋯⋯あの、近づかないで! やめて!」
「さすが、我がクラスメイトたち、素晴らしいですね! 優勝に一歩近づきました」
「⋯⋯ハァ⋯⋯まさに、友情と努力ですね⋯⋯瑞稀」
「美羽さん! そうですね、その通りです! 拍手!」
「さあ、体育大会も名残り惜しいですが、最後の種目になりました。 リレー対決です! この試合の勝者がこの体育大会の優勝者となります! 素晴らしい戦いが予想されますが⋯⋯美羽! なにか一言!」
「みんな騙されてるな! この女、学校を支配する気だぞ!」
「⋯⋯支配だなんてそんな~。 ただ、私が暮らしやすいようにするだけですよ~。 漫画とかゲームの持ち出し可能とか。 部活の新設とか、名前はのんびりゲーム部でどうですか?」
「素晴らしい! ことね様! 最終ランカーの、川端ことね選手、見事に他を切り離しゴール! 優勝です。 今、クラス全員でことね様を胴上げしております! 以上、実況は櫻井美羽がお伝えしました!」
「ふう、なかなか手強いですね⋯⋯美羽。 ですが、この学校はもうすぐ私の手に落ちます! この私、倉石瑞稀の手にね! 次の選挙は私に一票を! みんなで始めましょう! 楽しい推し活ライフを!」
「⋯⋯お嬢様、生徒会長選挙の件ですが⋯⋯」
「二年の生徒は全員潰したわ。 次の生徒会長は私に確定ね」
「⋯⋯それが、一年にいる生徒の中で、お嬢様よりも人気を集める生徒がいまして⋯⋯」
「ふふ、面白いわね。 さっさと情報をみせなさい。 ⋯⋯倉石瑞稀ね。 彼女には地獄を味わってもらうわ!
私に対抗する愚行を一生後悔するね! ⋯⋯あぁ理想が! 私の理想が! もうすぐ叶うわ⋯⋯」




