51.綺羅万のレッスンその2上
少しして、黒子が部屋に入ってきた。
「おはようございます。万師匠。」
「うん、おはよう。」
「ところでそちらの方は?」
と、黒子は陽田萱を指差した。
「彼は陽田萱 健斗、銀之助たちに代わって君の相手をする人だよ。」
「そうですか。」
黒子は陽田萱の方を向き、礼をした。
「よろしくお願いします。」
「ああ、よろしく。」
万は、そろそろ始めようか、と言い、二人から離れた。
「それじゃあ、影野黒子のレッスン2、戦闘訓練、はじめ!」
その合図で黒子は陽田萱に殴りかかった。
「先手必勝!」
だが、そのときすでに、陽田萱はそこにはいなかった。
「…っ!?」
陽田萱はいつの間にやら黒子の後ろにいたのだ。
「隙だらけだ、影野黒子。」
陽田萱が黒子を蹴ろうとしたとき、黒子は後ろを振り向き、攻撃を受け流し、反撃をした。
だが、その攻撃を陽田萱はかわし、再び黒子にパンチを繰り出した。
「…っ!『能力倉庫』『空間移動』」
黒子は陽田萱の背後にテレポートした。
そして、黒子は陽田萱を蹴った。
だが、陽田萱はその蹴りを後ろに目がついているかのように避けた。そして、黒子の鳩尾を狙って殴った。
「…ぐっ!!」
陽田萱の攻撃がやっと当たり黒子はお腹を抑えた。
「ふん、その程度かい?どうやら気術を使うまでもないようだな。」
「はぁはぁ。」
「その程度の実力でよくここまで生き残ったな、これを奇跡と呼ぶんだろうね、きっと。」
陽田萱はふふ、と笑った。
「さぁ、きなよ。もしかして、もう終わりなのかね?」
黒子は答えなかった。
「残念だな、ただ一発当てただけで終わるとは、こんなやつと戦っても時間の無駄だな。」
陽田萱は右手に気を溜め出した。
「片手の波動砲で勘弁してやるよ。」
陽田萱の右手には地球儀ほどの大きさの気が溜まっていた。
「波動砲!」
陽田萱は黒子に右手だけの波動砲を撃った。
陽田萱が撃った波動砲が黒子に当たりそうになったそのとき、黒子が波動砲を撃った。
「波動砲!」
「…なにィィイ!?」
黒子は諦めたのではなく気を溜めていたのだ。
片手と両手では力の差が違ったのか陽田萱は押し負け、黒子の波動砲をもろに喰らった。
「…ぐっ!」
そして、黒子は右手の人差し指に気を溜め出した。
「こいつで終わりだ!」
「なにィ!?」
「螺旋砲!!」
黒子が撃った螺旋砲は陽田萱の心臓を貫いた。
はずだった。
「ふふ、隙だらけだぞ?影野黒子?」
「…っ!?」




