43.綺羅万のレッスンその1(北海道の金太郎)2
銀之助はゆっくりとかおりに近づいた。
だが、かおりは逃げずに戦いの構えをとった。
「ほう?…逃げないのかぁ?さっきの戦いを見てまだ戦う気になるのかぁ?」
「当たり前です!敵を前にして引き下がるわけにはいかない!」
「ほぉう、興味深い。なら見せてくれ、君の実力を!」
「はぁぁぁあ!『限界突破』!」
かおりの身体が黒く光だした。
「ほぉう、君もその技を使うのかぁ。」
かおりは右手に力を溜めた。
「『飛拳』!」
かおりが放った飛拳は銀之助に当たったのだが、銀之助にはまったく効いていなかった。
「ふぅむ、黒子と同じ戦い方をするんだなぁ。それじゃあ勝てんよ。」
「仕方ない!」
かおりは波動砲の構えをとって、気を溜め始めた。
「くらえ!『波動砲』!」
かおりが放った波動砲は銀之助に直撃したが、
「効かねぇなぁ?」
まったく効いていなかった。
「これでもダメかぁ。」
「お前もまだ隠しているんだろう?奥の手をよぉ〜。」
「仕方ない、はぁぁぁぁあ!上乗せよ!」
かおりの身体がさっき以上に黒く光った。
「やはり隠していたんだなぁ。」
「これで終わりにしてあげる!」
かおりは波動砲の構えをとった。
「やはりその技でやるか、なら、」
銀之助も波動砲の構えをとった。
「いっけー!『波動砲』!!」
「これで終わりにしてくれる!『波動砲"極"』!!」
二人が放った波動砲はぶつかり合った。
だが、銀之助のほうが力が強かったのか、すぐに押し返されかおりに直撃した。
黒子はその状況を薄れゆく意識の中ではっきりと見ていた。
(か…おり?)
「はぁ、こいつもこの程度かぁ。まぁこれで任務は終わったし、帰って寝よう。………っ!?」
そのとき、銀之助は膨大な気を感じた。
「な、なんだ!?この気は!今まで感じたことのないほどのエネルギーを感じるぞ!」
「かおり、まだ息はしているな。…よかった。」
倒れているかおりのそばに、黒子がいた。
「貴様、動けないはずじゃあないのか!」
「進化したのさ、生と死の間で何度死にかけたことか。…まぁいいか、それじゃあお見せしよう。最強の切り札を。」
「ほぉう、今度は通用するかな?」
「はぁぁぁぁぁぁあ!『"神"能力倉庫』!」
黒子の身体は白く光出した。
「気を進化させる程度じゃあお前にゃあ勝てんと思ってね。」
「いいじゃあないか!いいじゃあないか!面白い!」
「かおり、必ず勝って、助ける!『"神"能力倉庫』『守護・空間移動・加速・時飛ばし・発火能力』」
黒子が能力を発動した瞬間、黒子が五人出てきた。
「驚いたか?こいつらはさっき言った能力を一人一つ持った僕だ。つまりほぼ僕と同じ強さの僕が六人になったってことだ。」
「増えたからなんだ?全員吹き飛ばしてくれる!」
「『時飛ばし』」
黒子の一人が能力を発動した。
次の瞬間には、銀之助は少しダメージを負っていた。
「お前たち、時間を稼いでいてくれ。勝つためにはそれが必要だ。」
五人の黒子は頷いた。
そして、黒子は気を溜め始めた。
「はぁぁぁぁぁぁ!」
「…っ!させるかぁ!『波動砲』!」
銀之助は黒子本体めがけて波動砲を撃った。
「『守護』」
黒子の分身がそれを防いだ。
「『加速』」
「『時飛ばし』」
「『空間移動』」
「『発火能力』」
「『波動砲』」
黒子の分身は一斉に攻撃をしだした。
「はぁぁぁぁぁぁあ!」
黒子はまだ、気を溜めていた。
その様子を見て、銀之助は驚いていた。
「どうなっているのだ。この世界が、揺れている?」




