4.不思議な事件(ミステリアス インシデント)2
このとき既に黒子には犯人が分かっていた。
「ルポーネ君、君は人間が人と付き合う上で大切なことは何か知っているかい?」
「信頼関係ですか?」
「違う。」
「じゃあなんですか?」
「人間が人と付き合う上で大切なことはね、疑うことさ、ルポーネ君。」
「疑いですか。」
「そうさ、だから僕は現場にいた警察官も被害者のスリバード氏ですら疑っているんだよ。もちろん君のこともねルポーネ君。」
「人間関係で大切なことが疑いってのは分かりました。だけどそれがなんだって言うんですか?」
「そうだなぁ、じゃあ言い方を変えよう僕は君を犯人だと思っているんだ。違うか?ルポーネ君?」
「どうしてそう思うんです?」
「君の能力でならこの犯行が可能だからだよ。」
「なに?」
「だが、ひとつわからないことがある。なぜ証拠が残らなかったのかがわからないんだ。あそこまでぐちゃぐちゃにしておきながらなぜ証拠が残らなかったのか、後はそこだけだ。」
「俺は喋らんぞ。」とさっきとまるで雰囲気が違うルポーネが高圧的に言った。
「喋らなくていいんだ。君の記憶を読むからね。『能力倉庫』『記憶確認』ルポーネ氏貴様の記憶を拝見する。」
そこからはもう一人の犯人を追ったりといろいろあったがこの事件、『不思議な事件』は無事に解決した。ちなみに協力者の名前は『ガーナベル・バローキ』能力は『証拠隠滅』犯罪の証拠となりうるものを消滅させる能力だそうだ。そりゃ証拠が残らなかったわけだ。
「せっかくイタリアに来たんだ観光でもしてから帰ろう。」
それから黒子は、コロッセオやポンペイなどいろいろな場所を歩き回った。そして黒子が抱いた感想は、
「美しい。」すごく薄かったのである。