29.綺羅万のレッスンその1(黒ずくめの炎使い)1
「黒子く一ん、かおりちゃーん、着いたよー。」
そうこうしているうちに着いたようだ。
「かおり、着いたみたいだぞ。降りよう。」
「あ………う、うん。」
黒子とかおりは船乗りのお爺さんに礼を言って、船から降りた。
着いた頃にはすでに、辺りは真っ暗だった。
するとそこにはある人影があった。
その人影は黒いフード、黒のジーパン、黒の仮面、を身につけた真っ黒な人影だった。
「誰だ、あんた。」
「黒子さん、ようやくきましたか。」
「………?」
「なんでもありません。さぁ、始めましょうか。」
そう言うと、その人影は深呼吸をした。
「いきますよ。『発火能力』」
その人影は大きな炎をつくり出した。
その炎は次第に大きくなっていき、しまいには、一軒家くらいの大きさになっていた。
「まずい。『能力倉庫』『守護』」
「そんなバリアで防げるとでも?さぁ、燃えろ!」
その人影が放った炎はバリアを破壊し、黒子に直撃した。
「ぐはっ!……… 」
「 黒子君!」
(なんなんだ…あの炎の大きさは。)
そこで、黒子の意識は途切れた。
黒子が目を覚ますと、そこにはさっき別れたはずの影野玄斗がいた。
「よお、また会ったな。」
「父さん?てことは死んだ?」
「いや、死んでないぞ?」
玄斗は首を傾げた。
「言っただろう?ここはあの世と現世の狭間だ。だからお前はまだ死んじゃあいないよ。」
「じゃあなんで僕はここに?」
「一つ、言いたいことがあったんだ。」
「………?」
「自分のことを進化させるために必要なものは覚悟だ。なにかを達成しようとする思いだ。例えばキリンだ。キリンは特定の木の葉を好んで食べる習性があることから、ほかの動物が到達できない位置にある葉を食べるために長い首が適しているため首を長くしたと言われている。」
「どうゆうこと?」
「そのうちわかるさ。必ずね。」
「はぁ。」
「さぁ、行ってこい。」
そして、黒子は再び現世に戻った。
「………っ?!」
(体が…動かない?)
目の前ではかおりと黒ずくめの男が戦っていた。
「『守護』ぁぁ!」
「いつまで耐えられるかなぁ?」




