1.始まりの書
これはあるひとりの少年が自分の存在意義を探すために世界を転々とする物語である。その少年の名を『影野 黒子』
「ママ、パパはどこに行ったの?」
「パパはねぇ、どこか遠いところに行ったの。」
「それってどこ?」
「それはママにも分からないの。だからね、これからしばらくはパパとは会えないけど黒子は強いから我慢できるよね?」
「うん、僕我慢する。」
「じゃあ帰ろっか。」
「うん。」
敷布団の上で僕は目が覚めた。
「懐かしい夢を見たな。」
そう言い敷布団から出てきた黒子は、キッチンへと向かった。
キッチンに着き冷蔵庫を開けてみるとそこには、
何もなかった。そう文字通り何もなかったのである。
何もないことを確認した黒子は、ため息を吐きながら家を出て近くのコンビニへと向かった。
コンビニに着くとガラの悪い高校生くらいの男共がさっそく絡まれてしまった。
「よぉ、にいちゃん金、持ってんだろ?少しでいいからよぉ貸してくれねぇか?」
「そこ、退いてくれません?邪魔なんですけど。」と、黒子は冷たく言い放った。
「いいからとっとと金を渡してくんねぇかな?俺だって暴力はあまり好きじゃあないんだ。」
「退けって言ってんだろ?てめぇのせいで朝飯が食えねぇじゃあねぇか。それにこんな朝っぱらからカツアゲとか暇人かよ、人に迷惑かけるなって学校で教わらなかったのかよ?それともあれか?脳みそつまってねぇんじゃあねぇの?」今度は煽りも込めて言ってみた。
「さっきから黙って聞いてりゃあごちゃごちゃと、もういい力尽くで奪ってやるぜ!」
リーダー格の男が黒子に殴りかかった。
そこからは5秒もかからなかった。まず黒子はその男のパンチを躱わしカウンターの一撃をその男に放った。その男は一メートルくらい飛び、その場で倒れた。
その後、黒子はその男共を無視してコンビニで買い物を済ませて家へと帰った。
言い忘れていたがこの世界には能力というものが存在する。ちなみにこの物語の主人公の能力は、『能力倉庫』である。能力の説明はいつか機会がある時にさせてもらおう。