表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

15/69

第15話 発見:神ノルキー視点

 観察対象は、どうやら自らより大きな男を相手に、剣の腕で勝ったようだ。


 あの様子だと、まだまだ伸びしろがある。


 潜在能力からして、人間としてはかなり上位の存在と見てよさそうだ。神かと錯覚するほどのことをやってのけただけはある。


 普通の肉体で同じことをやろうとすれば、処理しきれずに焼け焦げていただろう。


「あれか……」

「あれだねー」

「どうしたものか」

「ねえ、こんなところいたらバレない?」

「人間の視力では、地上からこの場所は見えない。他の存在になら気づかれても問題はない。そもそも、気づかれそうになったなら、その時は感知して移動すればいい」

「ふーん?」


 ワタシは今、かなりの高度から人間たちを見下ろしている。


 地上で観察してもよかったのだが、いかんせんきまぐれに生活環境を変えしまっては、観察どころではなくなってしまう。そのため仕方なくだ。


 あまり高い場所に慣れていないのか、悪魔は震えながらワタシにしがみついている。


「…………。どうしてついてきた」

「それはもちろん、あの子をアタシの配下にするためだよ。……ま、逃げても自由がないから逃げてないんだけど……。そっちこそ、視界はもう戻ったはずなのに、どうしてここまで?」

「さあな……」


 戻ったとはいえ、また戦いの最中にスキルを使われてはかなわん。


 それに、本当に悪魔の配下にされては、ワタシでは対処できなくなるかもしれない。


「もしかして、アタシのことが好きになっちゃった?」

「なわけあるか」


 相変わらず攻撃が当たらないが、かといって悪魔のことを見逃したつもりはない。


 腹立たしいが、この悪魔を倒すには、あの人間の協力が必要だろう。


 人間である以上、ワタシ以外の神の力ではなく、人間のスキルということになる。ワタシに効いた理由がわからないが、視界を上書きする程度だからこそ、力が強かったのかもしれん。


「しっかし、見たところ、今の戦いじゃ使わなかったみたいだね? 人違いじゃない?」

「そうかもな」

「あ、もしかしてわからなかった? やっぱり神様は大雑把だなー」

「どうだろうな」

「もー真剣に話してよー!」


 こいつとまともに話しても仕方ない。


「きっと、今回は使用範囲を制限していたんだよ。アタシやノルキーちゃんに影響はなかっただけで使ってたはず。そうじゃないとあの展開はおかしいもん」


 どうやら見抜いていたようだ。


「どう? すごいでしょ?」

「そうだな。……有効範囲をコントロールできるということか……?」


 ならばどうして、あの時はむやみやたらに能力を使ったんだ? 広範囲に使い必要があったのか?


 いや、人間の考えることはわからないな。


「能力もだいたいわかってきたし、どう行こうかなー」

「待て。ここで出ていくバカがあるか」

「えー? そんなすぐに行くわけないじゃん。まさか本気で出ていくと思ったの?」

「貴様に下手に行動され、ワタシまで警戒されると厄介なだけだ。神や悪魔がまことしやかにしか語られていない以上、そのままの姿で出ていくのは避けるべきだ……」

「へー? ノルキーちゃんって案外奥手なんだね。でも、意外と信じてくれるものだよ?」

「オクテ?」


 なんだか煙に巻かれているような気がするが、人間の生態に関してワタシは詳しくない。


 悔しいが、悪魔の方が人間については詳しいだろう。


 倒そうにも倒せずうっとうしい。かと言って見失って自由にさせるわけにもいかない。


 拘束して放置しようにもこの悪魔なら抜けかねない。


 どうにか動きを止めておけるといいのだが……。


「なんだか考えてるみたいだし、思ってたより行動までが遅いんだね。ま、いいや。それじゃあノルキーちゃんがアタシにお手本を見せてよ。悪魔のアタシじゃ、ムズカシイことはわかんないなー」

「ほう? 先を譲ると?」

「そうそう。見せてよ。見ればわかるでしょ?」

「ならば、動くなよ?」

「大丈夫だよ。アタシが悪魔だって知ってるでしょ?」

「まさか、ワタシが悪魔のルールを使うことになるとはな」


 悪魔の契約は悪魔にとっては絶対。


 もしやこれは、倒せないことのヒントか? いや、どうだろうな。 


「アタシが誰かとすでに契約してるから倒せないのかもしれない?」

「そうだな。だが、どうだろうな?」

「どうでしょう? でも、その通り。アタシは契約を破れない。動いたらお望み通り、アタシは存在そのもの、何もかもが抹消される。だから、おとなしく見てるよ」

「いいだろう。貴様よりも先に、ワタシがあの人間を手にして見せるさ」

「がんばれー」


 取り決めが行われ、見えない鎖で悪魔の体は拘束された。


 契約を破棄できるのは悪魔と契約を交わした方のみ。

 踏み倒すヤツもいたらしいが、悪魔が相手だ。悪魔に同情はしない。


 さて、計画からだ。人間は賢い。だが、あまり理解の及ばないことをしても通らない。


「……どうするのがいいのやら」

いつも読んでくださりありがとうございます。


「面白い!」


と少しでも思っていただけたら、下の☆☆☆☆☆から作品への評価をしてくださると創作の励みになります。


また、ブックマークもしていただけるとモチベーションにつながります。


よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ