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前編

思い付くままに書きました。


暖かい目でご覧ください。







 帝国領一の不細工(ブサイク)と噂されている一人の少女がギルドを立ち上げた。というニュースが帝国新聞を通して帝都中の人々に知らされた。


 少女が営むギルドの名前は"何でも屋カテラ"。カテラとは帝国領に古くから住んでいると言われているコモンという一族の言葉で"信頼"という意味を持つ。



 少女の名前は、セルシナ。



 本日は、彼女がギルドを立ち上げて1ヶ月目の記念日だった。





+




 チュンチュン



 朝。窓の縁にやって来た小さな青色の鳥が鳴き声をあげる。その声を聞いて、私は被っていたシーツをどかしてむくりと起き上がった。


 ベッド脇の棚の上に置いてある時計を見ると、現在の時刻は6時55分。早く起きすぎてしまったと、私は欠伸をしながらベッドから降りて洗面所へ。



 顔を洗って、タオルで顔を拭く。鏡を見ると、そこには不細工な顔の私が居た。



「……おはよう。今日もこの顔は冴えないわね」



 顔を両手で何回か叩く。叩いたからか両頬が赤く染まり、ただでさえ不細工な顔が更に不細工な顔になってしまった。


 洗面所から出て、服を着替える。黒を基調としたパジャマから白を基調とした外出用の普段着へ。ちなみに、私は朝食は取らない派です。


 服を着替えたら、乱れたベッドとボサついた黒髪を整えて部屋を出る。部屋を出たらすぐに階段なので、注意しながら2段飛ばしでそこを降りましょう。



「おはようございます」

「おはようセルシナ。今日は早いね」

「何か手伝える事はありませんか?」

「今は特にないよ。いつもありがとうね。本当なら正式な手続きをしなきゃいけないんだろうけど……」

「大丈夫ですよ。気にしないでください。上に住まわせて貰っている立場ですのでその恩返しです」

「すまないねぇ」



 私が住んでいるのは、心優しいお姉さんが営んでいる宿屋の2階の一室。無償で使っていいよと言われて遠慮なく使わせていただいているけれど、その経緯としてそれはギルドを立ち上げた翌日、困っていた彼女の悩み事を彼女の息子経由で解決してあげた事のご縁からの賜物だった。


 残しておいたお金も全部使ってしまって無一文となってしまっていたから、そのお話を聞いた時は本当に助かったよ。



「よぉセルシナ。おはようさん。今日も今日とて酷い顔だな」

「!」

「こらリオ。失礼な事言わない」

「いいだろ別に。コーヒー1つ」

「……たく、この子は。ごめんね、セルシナ」

「いえ、気にしてませんよ。失礼だとは思ってませんし」

「ほら。セルシナは何を言ってもこうして笑ってるだけなんだから問題ねぇの」

「あんたは、……もうちょっと女心ってもんを勉強して方がいいよ。まったく、誰に似たんだか」



 はぁ。とお姉さんは溜め息を吐く。


 カウンターに座ってコーヒーを頼んだのは、先ほど言ったお姉さんの息子、名前はリオール。リオールはこの宿屋で働いている私より二つ年上のお兄さんだった。彼との出会いはお姉さんよりも早く、とある事情からこの2ヶ月の間ずっと一緒である。



「あ、そうだ。セルシナ、この前の依頼なんだけど」

「?」

「あれ、ちょっと手違いがあって品が間違ってたらしいんだ。だからあとでギルドに同じ依頼出しとくからまた手伝ってくれ」

「あ、……うん」

「ん? あんたまたこの子に何か頼んだのかい?」

「あー、……まぁ。でも今度は簡単な仕事だから」

「……あんま、この子に迷惑掛けるんじゃないよ」

「心配すんなって。セルシナが一人で大変な時は俺も手伝ってるし」



 差し出されたコーヒーのカップの取っ手を持ち、ズズズと飲む。リオールからの依頼は、ギルドを立ち上げてからほぼ毎日と言っていい程やって来ている。


 彼からの依頼は、猫の捜索や落とし物の捜索など何かを探す系のものがほとんどだ。



「じゃあ私、そろそろ行きますね」

「うん。いってらっしゃい。今日も頑張るんだよ」

「はい」

「いってらー」



 いってきます。と、お姉さんとリオールに笑顔を見せて、私は宿屋を出ていく。私が営むギルド"何でも屋カテラ"は"ギルドカンパニー"と呼ばれる建物の内部に籍を置いていた。


 宿屋からギルドカンパニーに行くには専用の車に乗って行かなければ辿り着く事は出来なくて、"カンパニー行き"と書かれたプレートが貼り付けてある車を見つけて、私は真っ直ぐにカンパニーへ向かう。



「おはようございます、セルシナさん。カテラ宛に依頼が何件か来ていますよ」



 カンパニーへ行き、受付のお姉さんから依頼の書かれた紙を受け取る。本日の依頼は3件ほど。家の中に侵入したスライムの退治と、プニプニした薬草の採取。それと、帝国騎士団からの依頼だ。




「また帝国騎士団?」

「はい。今回はセルシナさんの採掘の腕を見込んでのご依頼だそうです。凄いですね。ギルドを立ち上げてまだ1ヶ月なのに、もう騎士団から2回目の依頼がくるなんて」

「……………」



 2回目の帝国騎士団の依頼。詳しい内容は書かれていないけど、行くのは上2つの依頼が終わってからでいいかな。……採掘の腕を見込んでの依頼って何だろう。


 そして私はギルドカンパニーを出て、最初の依頼者の元へ。家の中に侵入したスライム退治はものの5分で終わり、次の依頼のプニプニした薬草の採取は特定の場所での採取だったため多少の時間は掛かったが、なんとか終わらせられた。



 そして、本日の最後の依頼。帝国騎士団からの依頼。2つ目のプニプニ薬草採取の依頼者の家から数十分歩いた先にある帝都のお城。そのお城の中に騎士団の本部はあった。


 城の大きな門にて、大きな門番ロボにギルドカンパニーから来たという証(ギルド関係者全員に配られているギルド証)を見せて、騎士団本部へ。本部の中に入ってすぐの部屋に居た騎士団の隊長が本日最後の依頼者だった。



「ご依頼ありがとうございます。ギルド"何でも屋カテラ"のセルシナと申します」

「うん。よく来てくれたセルシナ」



 私の顔を見つめて、騎士団隊長は口角を上げて笑顔を浮かべる。


 騎士団隊長トワエス。1回目の依頼も彼からのものだった。



「早速本題に入らせて貰うが、君には宝石の採掘をしてきて欲しいんだ」

「宝石の採掘……ですか?」

「ああ。エメラルドとトパーズの二種類の宝石の採掘だ」

「エメラルドとトパーズ……」



 宝石にはあまり詳しくないからよくわからないけど、エメラルドなら以前に取り扱った事があるからわかる。エメラルドとは、緑色のキラキラした綺麗な宝石の事だ。トパーズは、……うん、残念だけれどわからない。あとで調べてみよう。



「その二つの宝石が必要な訳は?」

「……やはり、訳を言わなければ駄目かい?」

「話したくないのならばそれで結構ですが、その場合この依頼は無かった事になります」

「………。そうだな。簡単に言ってしまうと、その二つの宝石は指輪を作るのに使うんだよ」

「指輪?」

「ああ」

「……ご結婚なさるのですか? おめでとうございます」

「! いやいや、勘違いするな。結婚するのは俺じゃない。古い友人に頼まれたんだよ。結婚指輪を作るのに必要だから採ってきて欲しいって」

「……ご友人は、何故それを貴方に?」

「……そいつの住んでる所はここから離れた辺境の集落でな、近くに宝石が採れる場所がないんだと。だから話が俺のとこに来て、依頼を出したって訳」

「……、なるほど」

「引き受けてくれるかい?」

「……………」



 聞かれて、顎に手を添える。


 依頼内容はわかった。断る理由なんて何処にもない。



「わかりました。エメラルドとトパーズの採掘ですね」

「……引き受けてくれて助かる。エメラルドとトパーズはここを離れて北に行った所にある鉱山で採れるという噂だ」

「おまかせを。受けた依頼は必ず遂行します。カテラの名に恥じぬ行いを」



 頭を下げて、踵を返す。


 騎士団本部から離れて城の門を抜けた所で私はズボンのポケットから長方形の端末を取り出し、真っ黒だった画面に帝国領全体の地図を表示させた。


 帝都から離れて北の鉱山。画面をスクロールして、見つけた鉱山を目的地に設定する。そして私は一度自分の家に戻り、遠出をする準備をした。





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