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言葉にするのが怖かった私たちは気付けば言葉にしようとしなくなったんだ

作者: SYULI


「じゃあまたね。」

そういってわたしたちは口付けをする。





ふと思い出したように連絡を取り

ご飯を食べて街をうろついて

なんだかんだ家にあげてもらうのが恒例行事。


1年振りに会ったあいつはいつも通り、

いや少しぎこちなく笑って。


変わったのはほんの少し友達から恋人になり、

また友達になったことだけ。





高校生で出会ったわたしたちは

言葉にするのが恥ずかしくて

好意を見え隠れさせながら気付かないふりをしていた。



離れて、忘れた頃に連絡を取ってまた会える

お互いの恋人の話を聞いては励ましたり心配したりして

そんな関係を築きながら長い月日が経っていた。




いつしか手を伸ばしてみたくなって

手を伸ばして壊すのを恐れて引っ込めた。


それを繰り返すうちに壊してしまった。



一度壊したものは元には戻らない



手がぶつかるだけでどきどきして

不自然に目線を泳がせて

冗談混じりにデートに誘っては

答えを聞く前に取り消すようなあの頃


仲良いよね、と言われても別にそんなんじゃないと

お互いを意識しては冗談で流すような


そんな私たちはいつしか大人になった。




恋人という言葉を今更付けたって

境なんてひとつくらいしかなくて

越えてみて変わるものは意外と大したことなくて

やっぱり友達で良いんじゃないかと


それでも超えてしまった境は元には戻らない。



お互い好意はあっても言葉にしない

それでも手を繋いで、口を塞いで。



都合の良いかたちを見出してしまったわたしたちは

過去のわたしたちには戻れないんだ。




言葉にできなかったわたしたちは

言葉にしたことを忘れたように

言葉にしない大人になってしまった。



ねえ、あの頃口にしていたら何か変わってたのかな。




音にならない言葉は空虚に消えていく




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