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第九十話 ミクロリニア観光


「新しい世界に行ってみようよ!」


「ユウなら、そう言うと思ってたヨ」


「うん、そうだね……」


 優は、朝からずっと行こう行こうと言っていた。


 機械の心臓は買っていなかったみたいだけど、もう、ポータル屋さんがいるだろう。


 でも……。


「…………」


 わたしは、ずっと前から行っていたとは言い難い。


 なんとなく、言いそびれていたけど……。


 いや、やっぱり、優に嘘を言うのはやめよう。


 聞かれたら答えるとか、誤魔化していたけど、ちゃんと言った方がいい。


「ごめんね、優……言ってなかったことがあるんだ」


「どうしたの、改まって?」


 純真な目でわたしを見る。


 そのピュアなパワーは、わたしをたじろがせるのに十分だった。


「あ、あの、あのね……じつは……新しい世界を解放したのは、わたしなんだ」


「知ってるよ」


 こともなげに優はそう言う。


「えっ! なんで!?」


 話してなかったのに、どうしてわかるの!?


「だって、砂緒ちゃん、誰も覚えてないスキルをバンバン使ってたし」


「そ、そうなのぉ……?」


 なんか、自分が馬鹿みたいに思えてくる。


 いや、なんか、こうもっと汚いものかな……。


「スナオが極端に強いのは、不自然だよネ」


 エミリーは笑っているけど、わたしは隠しているつもりだった。


 なんだかなぁ……。


「もしかして、気にしてたの?」


「それは、そうだよ……」


「もう、そんなこと気にしなくていいのに!」


 優が、優しく抱きついてくる。


 ゲーム内で香水なんて使っているのか、ふわっとシトラスの香りがした。


「だ、だって……気になっちゃうじゃん……」


「私は気にしてないよ」


 本当に気にしていないんだろう。


 その言葉には、真実味があった。


「うん……お詫びに、ロボットの初期費用はわたしが出すよ」


「えええっ!? 500ルピだよ!?」


「うん、エミリーもそれでいい?」


「いいヨ、儲けたね、ユウ」


 機械の心臓を売った儲けが凄まじい。


 そのくらい、なんでもなかった。


「砂緒ちゃんは、ロボット作ってなかったの?」


「うん、作ってなかった」


「なんデ? 機械の心臓を売っていたのはスナオなんでショ?」


「気が付いたのが、そのときだったんだよ、あんまり、街の中も探索してなかったし」


 地上の街程じゃないけれど、ミクロリニアも結構広い。


 わたしが知らない事なんて、まだまだいっぱいあると思う。


「そんなに広いんだネ」


「もしかしたら、なにかすごいクエストとか残ってるかも知れない」


「そうなんだぁ」


「まぁ、話してても仕方ないシ、新しい世界に行ってみようヨ」


「うん、じゃあ、ポータルするね」


 わたし達は、ミクロリニアにポータルした。






「すごーい、鉄の街って感じだね」


「現代とも違う、変な感じがするヨ」


 人がデザインしたのか、マギウスがデザインしたのかわからないけど、あまりおしゃれな街並みではなかった。


 どっちかというと、無骨で寂しい街だ。


 悪魔が侵攻してくる前は、もっと華やかな街だったんだろうか?


「ガンナーとかバードとか取る?」


「バードは興味あるけド、今はいいヨ」


「わたしは、神聖魔法一本で行くから、ロボットが気になるかな」


「じゃあ、ロボットのところに行ってみようか」


 中央通りを歩きながら、街を案内する。


「ここに入ったところに、職業ギルドがいっぱいあるよ」


「ここだネ、わかったヨ」


 メインの大通りから伸びている横道だ。


 横道といっても、結構広いけど、


「上級職業に転職するには、100ルピ必要だった」


「結構するねぇ」


「まぁ、当分先でショ」


「からくりがあってね、ここに来る前のボスを倒すと、王様から100ルピがもらえるんだよ」


「違うことに使っちゃいそうだネ」


「いっぱい職業を取っている人は、大変だ」


 職業ギルドのある道を通り過ぎて、更に進んでく。


「後で、ご飯も食べてみよう、変な食べ物だよ」


「美味しい?」


「美味しいのは美味しかったよ」


「微妙な表現だネ」


「おかずとデザートの間みたいな食事だった」


「小麦とかお米とかじゃないんだ」


「未来の街っぽいかラ、そういう穀物じゃないんでショ」


「カロリーはありそうだったから、栄養もあるんじゃないかな?」


 実際に食べるわけじゃないから、栄養素は割とどうでもいいんだけど。


「他には何があるの?」


「飛行船を造れるんだけど、みんなで材料を集めて、みんなで使うみたい」


「ほー、それで、ここからどこかに行けるようになるんだネ」


「そうなのかな? わたしは、孤島の乗り物が解禁になるのかなって思ったけど」


「それもあるかもネ、早くそうなって欲しいヨ」


「税金がいっぱい入るもんね」


 人通りの多くなった道を、おしゃべりしながら歩いて行った。


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