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第八十二話 新しいダンジョン


「ヤキニク、出て来て」


「なんだい、ご主人様。オレは、親密度を上げると、ちゃんと会話できるようになるんだぜ」


「そうなんだ、今でも十分に話せてるけど」


 こんなペット今までいなかったと思う。


 わたしが知らないだけで、ペットの道は深く険しいのかも知れない。


「ヤキニクは、ここのダンジョンから来たんでしょ? ボスはどこにいるの?」


「それは答えられねえな」


 やれやれって感じに首を振る。


 ちゃんと会話できてるじゃん。


 ちょっと親密度があるようだ。


 上等なムチでテイミングしたからかな?


「ケチ言わないで教えてよ」


「イヤだねー、教えて欲しいなら、もっと親密度を上げることだな」


 むぅ。


 親密度って、どうやって上げるんだっけ?


「どうしたら親密度が上がるの?」


 ヤキニクが、ニヤッと笑う。


「そうだな、ここで裸踊りをしたら上がるかもなー」


 こいつ……悪魔だ。


 わたしは上等なムチを取り出して、床をぴしゃりと叩く。


「ひいいぃぃぃぃっ! それでオレを叩く気か!」


「親密度が上がるかも知れないからね」


「む、無理です、普通に生け贄を下さい……」


 生け贄は、悪魔系のテイムアイテムだ。


「生け贄なんて無いよ」


「じゃあ、お金でもいいです」


「お金で親密度が上がるの?」


 悪魔っぽい……のかなぁ……?


 まぁ、いいや。


 わたしは、1ルピを上げた。


「これっぽっちじゃあ、親密度は上がらないなぁ」


 むー、何かムカ付く。


 どうしよう、上げすぎるほど余裕無いし。


「じゃあ50ルピ」


「ご、50ルピー!」


 興奮している、結構利いているらしい。


 まぁ、五万円だしね。


 利いてくれないと困る。


「さあ、ボスがどこにいるのか教えて」


「このダンジョンには地下があって、それに気が付かないと、ボスには会えないんだぜ」


「どうやって地下に行くの?」


「えへへ……」


 ヤキニクがいやらしく笑っている。


「もっとお金を寄越せってこと?」


 どうしよう、甘い顔をしているとつけ上がりそうだし。


「うーん……」


 考えた末に、わたしは、またムチを取り出した。


「ひいいぃぃぃぃぃっ! なんでぇぇぇぇぇっ!?」


「なんかムカ付いたから」


「ご、ゴールドゴーレムの後ろを着けていけば、隠し扉の場所がわかりますぅぅぅ」


「ゴールドゴーレム?」


 金のゴーレムはさっきいた。


 わたしは、慌てて探しに戻る。


 宝石のドラゴンがいて、ここが入口で……。


「あっ」


 金のゴーレムがいた。


「ふぅ……」


 これ、プレイヤーでいっぱいになったら探せないんじゃないかな?


 ノーヒントなんだろうし。


「…………」


 あとを着けていくと、ゴールドゴーレムが、たまに壁をコンコンしたりする。


「ふむふむ」


 あそこに隠し扉があると。


 ゴールドゴーレムが行ったあとに壁を探してみると、隠し扉になっていた。


「おおっ……」


 でも、中は財宝だ。


 お金とアイテムを取って、またゴールドゴーレムのあとを追う。


 それを繰り返していると、途中で、床をドンドンと足で踏んだ。


「来たっ!」


 あれだ。


 床を調べてみると、地下への階段がみつかった。


 慎重に階段を下りていくと、そこはすぐに豪華な大扉になっていた。


 ボスだ。


「みんなに手伝ってもらおう」


 ボスの扉の前で、ポータルにメモをする。


 そして、マイルームに戻った。


「ん?」


 突然、秘宝石を4つ消費しましたとメッセージが出る。


 滞在時間で消費する系かな?


 あのダンジョンに入る入場券じゃなくて、滞在できる券なんだな。


 中のモンスターを倒しても、またゲットできそうだ。


 まぁ、今はそれはいい。


 みんなのプロフを出して会話する。


「みんな、ちょっといいかな?」


「どうしたの?」


 優が、すぐに反応してくれる。


「なニ?」


 エミリーも落ちていなかったみたいだ。


 よしよし。


「どうしましたか?」


 名塚さんも、忙しいだろうに、返事をしてくれた。


「今回のイベントのことで、色々わかったんだけど……」


 わたしは、さっきのことを大ざっくりに説明する。


「それで、今ボス部屋前なんだけど、一緒にやらない?」


「すごいネ、この短時間に、スナオはプロフェッショナルだヨ」


 ゲームのプロは、今のところなれる気がしない。


 あれって、すごい研究と練習の上に成り立ってるんでしょ?


「うーん、でも、これから蒼天騎士団で戦うから……」


 優は、突入に参加するのか。


 わたしも、参加しようと思ってたけど。


「小島さんは行ってください、ボクが残りますので」


「え、でも……」


「大丈夫です、こちらは気にしないで下さい」


 責任感が強そうだ。


 やっぱり、名塚さんが時計塔侵攻の発起人なのかな?


「でもさ、優、まだ22時まで30分もあるよ?」


「いけるかなー? うーん……」


 優は悩んでいるようだ。


 乗りかかった船だから、離れられないのかな?


「わたしも、時計塔の戦いに参加しようと思ってたし」


「そうなの、それじゃあ行こうかな」


「やっぱり、一橋さんはすごいです、ボクよりも何手も先を考えています」


「いや、あんまり考えて……」


「でも、見てください! ここには、もう三万人以上の人が集まっているんです!」


「…………」


 なんか感動しているらしい熱い吐息が聞こえてきた。


 興奮してるのかな?


「ボクは、みんなを率いて悪と戦えることに、ワクワクしているんです……」


「そ、そうなんだ……」


 正義の味方好きだから、仕方が無いね。


「それじゃあ、リサを呼ぼウ」


「でも、リサちゃんはお兄さんと一緒に戦っているんじゃないかな?」


「ワタシに任せておいテ!」


 エミリーは、お兄さんとも仕事の関係で繋がりがあるみたいだ。


 説得できるのかな?


 あまり時間はないけれども……。


「オーケーだってサ」


「早っ!」


 そして軽っ。


「それじゃあ、孤島で落ち合おウ」


「わかったよ、私もすぐ行くね」


「よし、30分以内に勝って、時計塔の討伐にも参加しよう」


「うん、頑張ろう!」


 優は、MPが尽きてへろへろかも知れないけど……。


 そんなことを考えながら、孤島にポータル移動していった。


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