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第七十七話 第三回イベント開始


 イベント当日の昼休み。


 どんなイベントが行われるのかわからない、ドキドキとワクワクがあった。


 そこに、情報を持ったクラスメイトが飛び込んでくる。


「イベントは、街襲撃イベント! 街でモンスターが暴れてるらしい!」


 教室の中が一気にざわつく。


「ダンジョンの入口から出て来たのか!?」


「街の外に出ることは無いけど、そっちからきたのかもよ!?」


「じゃあ、壁が壊された!?」


「いや、わかんないわかんない」


 わたしは、小声で冷静に突っ込む。


 街の周囲は、ぐるっと外壁に囲まれている。


 東西に門があるけれども、突破されたとかわかんないから。


「ボスとか出て来たら面白いね」


 優は、相変わらずのんきだ。


 まぁ、ボスがいたら面白いけど。


「ドロップとかもあるのかな?」


「無かったら辛いだけだよぉ」


 イベントは三日間と、初めに告知されている。


 授業の時間は、ひたすらに時間の浪費だった。


「大学生とかは、授業をサボってゲームするらしいよ」


「ずるいよね」


 近くの席の子が話している。


 そして、わたし達は、当然のように午後の授業を受けることになった。






 午後の授業が終わると、みんな一斉にスマホを取り出す。


「キープしたよ、行こう!」


「早く行くぞ!」


「ぐずぐずするなよ!」


 みんな行動が早い。


 わたしも、いつも通りのふたり部屋をキープした。


「わたし達も行こうか」


「うん……あれ?」


 教室の後ろのドアから覗いていたのは、名塚さんだった。


「一橋さん、小島さん」


「どうしたの? 葉月ちゃん」


「あの、ボクも一緒にイベントやりたいなって……駄目ですか?」


「駄目なわけ無いよー、ね?」


 優がわたしに同意を求めてくる。


 もちろん、イヤじゃない。


「じゃあ、三人部屋を取り直すから」


 さっき取った部屋をキャンセルして、三人部屋を取った。


 名塚さんもソロだから、一緒にプレイした方がいいだろう。


 予約を取った三人部屋に入ると、早速椅子に座っていく。


「じゃあ、蒼天騎士団の詰め所で待ち合わせようか」


「わかりました」


「了解だよ」


「プレイ、スタート」


 マイルームで、いつものルーティンをやる。


 と言っても、売り物を捌いたり、新しく登録するだけだけど。


 そして、蒼天騎士団の詰め所にポータル移動した。


「……誰もいない」


 今は、蒼天騎士団も人が増えて、100名ほどが所属している。


 今回のイベントで活躍すれば、入りたいという人も増えるんだろうか。


 お手製ギルドだから、なんの恩恵もないんだけど。


「砂緒ちゃん、おはよー」


 優がやってきた。


「おはようー」


 優のレベルだと、まだそんなにたくさんポータルをメモできないんだろう。


 近くのランドマークから歩いてきたみたいだ。


「街の中にモンスターがいたよ!」


「強そうだった?」


「うーん、わかんない!」


 戦わずに、すり抜けてきたみたいだ。


 わたしは、まだ外を見ていない。


「すみません、お待たせしました」


 そこに入ってきたのは、つば広のとんがり帽子に、ゆったりとした紺のローブの魔法使い、名塚さんだった。


 加護は、奇跡の翼という格好いい加護らしい。


 魔法使い向きなのかわからないけど、フィーリングで決めたと言っていた。


「じゃあ、取りあえず孤島に行こうか」


「うん、葉月ちゃん、ポータルするね」


「孤島……ですか? わかりました」


「ポータルオン」


 三人で、孤島に飛んだ。


「おはヨー」


「おはよー」


「おはよう」


「お、おはようございます」


 孤島では、エミリーが待っていた。


 砂浜に何か書いている。


「ハヅキも来たんだネ」


「ここはどこですか?」


 夏の強い日差しに見渡す限りの海。


 でも、人は全くいない。


「海マップの孤島だヨ、ポータルをメモしておいた方がいいネ」


「海マップ! メモしておきます」


 メモのできる数は限られているので、迷いどころだ。


 でも、この孤島は何かと便利なのでメモして欲しい。


「街襲撃イベントなんだって」


「そうみたいだネ、腕が鳴るヨ」


「準備は大丈夫? すぐ戦闘になるかも知れないけど」


「大丈夫です」


「いいよ」


「オーケー」


「じゃあ、酒場にポータルしよう」


 四人でパーティーを組んで、酒場に飛んだ。


「うわっ」


 いつも賑やかな酒場の前。


 でも、今日はその様子が一変していた。


 怒号と悲鳴が響き渡る、激戦地だ。


 タンクひとりに、モンスターが5匹くらい集っている。


 それが見渡す限り10000組以上あるように見えた。


「えっ、えっ?」


 優が混乱している。


 すぐ近くのアタッカーは、タンクから敵を引きはがすように攻撃していた。


 範囲魔法は、タンクごとまとめてドカンだ。


 同じパーティーに入っていれば、範囲攻撃に巻き込まれることはない。


 傷ついた者が酒場の中に運ばれて、治療を受けている。


「酒場が狙われているのかナ? ワタシ達もやろウ!」


「じゃあ、行くよ!」


「はいっ!」


「おう!」


 わたし達の、第三回イベントが始まった。


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