第六話 ガチャの時間
「いやぁ、儲かったなぁ……」
一体どれだけ稼いだのか、わからないほどのお宝だった。
もう、初期型の収納BOXはパンパンだ。
拡張を視野に入れた方がいいだろう。
「ガチャ券だけでも、すごい出たからなぁ」
ガチャ券は、ノーマルガチャ、プレジデントガチャ、エンペラーガチャ、ゴッドガチャの四種類がある。
課金で買えるのは、プレジデントガチャまでなんだけど……。
わたしは、それ以上のガチャ券を5枚ほど手に入れていた。
「まだ、メンテまでには時間あるよね?」
こういうのは、急ぐとロクなことがない気もするけど……やっちゃうか!
ノーマルガチャは☆5までのアイテムが出る。
プレジデントは☆6、エンペラーは☆8、ゴッドは☆10までだ。
もちろん、エンペラー、ゴッドには下限も儲けられているという噂だったけど、まだ情報が少なすぎた。
「エンペラーガチャ3回とゴッドガチャ2回か……」
ドキドキする。
ガチャ運向上の加護は残っているんだろうか。
天運聖霊獣の加護は、上位互換ってことだよね?
「ぴゅーい!」
ダイフクをわしゃわしゃしてからガチャを引こう。
わたしは、ちょっとダイフクと戯れる。
そのいい香りで、興奮がちょっと落ち着いてきた。
「じゃあ、いくよ……チケットオン」
エンペラーガチャ券を持って、ガチャを始める。
すると……虹色の確定演出が始まった!
うひょおおぉぉぉっ! 虹色って何!?
そして出て来たのは……マントだった
「ステルスマント☆8! 姿を消せるだって!」
ヤバいアイテムだ。
イタズラ好きの人、垂涎のアイテムだろう。
「悪いことに使う想像しかできない……」
どんどんやろう。
エンペラーガチャ二枚目!
「チケットオン!」
すると、今度は金色がキラキラする演出が現れた。
確定演出で間違いないだろう!
ふおおおおぉぉぉ!
出て来たのは、アバター、衣装セットだった。
「アバター(勇者)☆7 聞いた事無い!」
ガチャ屋をやったとき、金色の演出で☆6だったから、キラキラすれば☆7なんだ。
どんなのか着てみたいけど、今は時間がない。
次のガチャを回そう。
エンペラーガチャ三回目……。
「チケットオン!」
すると、また、虹色の確定演出だった!
すごい! ガチャ運向上の性能がアップしてる!?
「星海のシールド☆8! フェンサーでも使えるシールド!」
性能によっては売ってもいいけど、取りあえず持っておこう。
エンペラーガチャでも☆5とかの報告が多いから、かなりいい結果だったと思う。
ガチャ運向上は絶対に働いている。
やるなら波が来ている今だ!
運命のゴッドガチャを手に取る。
噂によると、ゴッドガチャで出る☆10アイテムは、世界にひとつしかないユニークアイテムらしい。
そんなのが出ちゃったら、もう、わたしどうなっちゃうの!?
「ぴゅーい!」
時間がないけど、景気づけにダイフクをわしゃわしゃする。
よし、行くぞ。
「チケットオン!」
すると、部屋の明かりがすっと落ちて真っ暗になった。
なんだこれ、メンテが始まっちゃった!?
すると、小さな妖精のパレードが現れ、オーケストラまで登場して、ドルルルルというドラムの音が聞こえてきた。
確定演出だ!
そして、チンという音が終わると、わたしの目の前に白いアザラシの赤ちゃんが現れた。
「魔法のあざらし☆10! 乗り物!?」
乗り物来たー! 移動スピードが速く、空も飛べる!
しかも、モフモフでかわいい!
海とか山のステージとか、これで簡単に移動できそう!
時間を見ると、あと五分ほどでメンテの時間だった。
やってしまおう、ガチャを。
「チケットオン!」
最後のゴッドガチャを回す。
すると、部屋の明かりがフッと消えた。
キター! ☆10確定演出だーっ!
妖精のパレードとオーケストラを、今度はじっくりと眺める。
小さくてかわいい。
肝心のアイテムは……。
「業運招来☆10! 指輪アクセサリー! とてつもなく運が上がる!」
更に運が上がっちゃうの!?
もうこれ、どうなるかわかんない。
わたし、運特化なの!?
まだ時間は三分ある。
宝箱から直接ドロップした物も含めて、装備できそうな物を鑑定しておこう。
「鑑定君、来て下さい」
NPCの鑑定君を呼ぶ。
鑑定は、賢者の仲間とかにやってもらうのが多いんだけど、少なくないお金を払って、NPCにしてもらうことも出来た。
「星海のショートソード☆8! クリティカル確率3倍! クリティカルダメージ3倍!」
かけ算はヤバイ……後で変なことになる。
「星海の胸当て☆8! 一日10回魔法無効! 完全回避率3倍!」
「星海のシールド☆8! 完全回避一日10回! 完全回避率3倍!」
すごいアイテムがいっぱいだった。
この星海シリーズがフェンサー用の装備っぽい。
たくさん集めれば、セット効果もあるかも。
「一分後に緊急メンテナンスを……」
アクセサリーもいっぱいあるけど……もう時間がない。
「もうログアウトしておこう、ダイフク、またね」
「ぴゅーい!」
ダイフクは一声高く鳴くと、指輪になった。
装備しておこう!
そしてわたしは、ギリギリでログアウトした。