第四十話 新しいフルーツ ※
南国の喫茶店みたいなお店に入っていく。
独特のお茶の香りと、さわやかなフルーツの香りがした。
「領主様、いらっしゃいませ、今日はご満足頂ける一品が入荷しております」
「それください！」
「ただいまお持ちいたします、少々お待ちください」
どんなフルーツが出て来るのか楽しみだ。
いくら食べても太らないし、味はリアルで食べたときと変わらない。
ＶＲって革命だよね。
「売ってくれる物とかも変わるんだね」
「つまり、領主になる前と領主になった後の二面性を楽しめるわけだ」
「攻略しがいがありそうだネ、面白くなってきタ！」
「水呼吸ができる薬は、他のマップでも活躍するかも知れない」
「うんうん、独占販売だね」
「いくらで売るか決めておこうカ」
三人で値下げ競争とかしても意味ない。
ここは、話し合っておいた方がいいだろう。
「倍で売って２００イヤだねー」
「海マップで採取できる物を考えると、１ルピで売ってもみんな買うと思う」
「じゅ、十倍で売るの！？」
後ろめたいのか、優が愕然としている。
「ユウ、需要があるなら、原価の十倍でも百倍でも売れるんだヨ！」
「ちょっと売ってみようか」
試しに、競売に水呼吸ポーションを置いてみる。
そして、公式フォーラムの取引掲示板に、水呼吸ポーション販売開始！ 海マップの採取が楽々に！？ 海底探検のレジャーにもどうぞ！ と書いてみた。
さて、売れるのかな……。
「領主様、フルーツおまちどうさまです」
「おおおおぉぉぉっ！？」
昨日までと同じ南国のフルーツだけど、色が違う。
濃厚なマンゴーの赤と、パイナップルの黄色、今まで無かった、ドリアンも入っていた。
「おいしそー！」
「食べヨー、食べヨー」
わたしは、マンゴーを手にとって一口かじる。
「うんまーい！」
新鮮で甘い果汁が口の中いっぱいに広がっていく。
「おいしい！ このマンゴー、一個四千円とかする高級品！？」
「あはは、ヴァーチャルだといくらでも食べられていいネ」
「わたし、ドリアン食べるの初めて」
ちょっと匂いを嗅いでみる。
「思ったよりは臭くないかな……？ 味は……おいしいぃぃ！」
濃厚で、クリームみたいな滑らかさだ。
なんというか、食べたことのない味と食感だ。
「アハハ、本物はもっと臭いヨ」
「本当だ、そんなに臭くない、でも味は美味しいねぇ」
「臭いけど、クセになる美味しさが売りなんから、慣れている人には、匂いのないドリアンは不満かもネ」
そこで、ピンと表示が出る。
「あっ、水呼吸ポーションが売れた！」
「本当に十倍で売れちゃったんだぁ……」
これだけで９００円の儲けだ。
リアル換算するのは、あまりしない方がいいと思うけど。
「ワタシのも売れたヨ」
口コミで広がれば、たくさん売れるようになるんだろうか。
「たくさん売れたら、すごいことになるねぇ」
まぁ、人気が出れば、その分採取物の値段が下がってうまみも少なくなる。
その頃にまた、ポーションの値段も調整すればいいだろう。
「ポーション、たくさん買って、たくさん売ろう！」
「そうだネ、せっかくの先行者利益だからネ」
そして、そのまま、クエストをしたり海マップの売っている物を確認したり、ポーションを売ったりしながら、その日は終わりとなった。
領主システムの面白いアイテムスレ５
２５４、なんか、見たこと無いきわどい水着が売り出されてるんだが。
２５５、うｐうｐ！
２５６、こんなん。
２５７、うおおおおおお！ えちえちやん！
２５８、でも、これ着る女いるか？
２５９、ほれ、ヴァーチャルだから一定数いるわけよ。
２６０、スクショ撮ってアップしてる勢か。
２６１、ということは海マップも、領主が着任したか。
２６２、オーブなんて持ってねーよ！
２６３、水呼吸ポーションがいいかも知れん。
２６４、どんなんだった？
２６５、海マップで海底の採取ができる。ちな時給５ルピくらい。
２６６、時給５ルピとか、どんな上級アルバイトだよ。
２６７、日本円換算で時給五千円か……頭おかしなるな。
２６８、今のうちに俺もやっか。
２６９、ポーション出してるの砂緒ちゃんの友達やん。
２７０、誰や砂緒ちゃんって。
２７１、アリス学園の月間一位や、億単位で稼いでる噂やで。
２７２、ほーん、金が金を稼いでくるパターンやな。
２７３、利用してる側じゃ駄目だ、オーブ取らないと。
２７４、ボス倒せるんか？
２７５、縦に深く行くと無理やから、横に開拓せんとな。
２７６、このゲーム次から次へと、ヤバいな。
２７７、仕事やめちゃう新卒とかいそう。
２７８、金持ちがＲＭＴしてるんやろなぁ、投資として有りなのかも。
２７９、ルピが値上がりするのか？ 俺もちょっと買っておこうかな。
２８０、もう立派な仮想通貨だな。
２８１、モチベが沸いてきた、取りあえず☆５装備で固めるところからだな。
２８２、採取しながら狩りもして、忙しくなってきたで！
