表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
143/164

第百四十三話 テーマパーク


「キャーッ!」


「うわぁぁぁぁぁっ!」


 優のかわいい悲鳴と、わたしの本気の悲鳴が聞こえる場所、それがジェットコースターだった。


 長い並びを待って乗ったのはいいんだけど、そのジェットコースターが酷かった。


 バーチャルなのをいいことに、線路が崩壊したり、地面の上を走ったり、土の中に潜ったり、滅茶苦茶なものだった。


 これでかわいい悲鳴を上げられる優は、ちょっとただ者ではない。


「は~、面白かった~」


「ううっ……」


 ジェットコースター苦手になりそう。


「これは、現実の遊園地が太刀打ちできなくなるネ」


 エミリーは楽しそうだ。


 まだまだやれる感を出している。


「燃えてきました! 乗り物全部制覇しますか!?」


 名塚さんもノリノリだ。


 わたしだけなのか……。


 いや、おかしいでしょ。


「でも、さすが遊園地ですね、pvp禁止エリアとは思いませんでした」


「モンスターも出てこないから、戦うところじゃないんでショ」


 レッドプレイヤーがいたら変な感じだけど、遊ぶのは自由だ。


 蒼天騎士団が何か言うことじゃない。


「あれ?」


 わたしのアバターのポッケに何か入っている。


「どうしたの? 砂緒ちゃん」


「鍵だ。13番だって」


「えー! なにそれ!」


 ジェットコースターに乗っていたら、手に入れてしまった。


 何に使うんだろう?


「このマップの攻略に必要な物かもネ」


「いや、待って、これをゲットするまで、乗り物に乗り続けないと行けないってこと?」


 他にも絶叫系のマシンは、いっぱいありそうだ。


 ちょっと苦手なんだけど……。


「スナオはゲットできたんだからいいじゃなイ」


「攻略要素もあるんですね! 燃えてきました!」


 最悪なんじゃないだろうか。


 このマップの制覇は、みんなに譲りたい。


「でも、鍵なんてどこで使うんだろう?」


「あっ、アンドレアさんからメッセージが入りました」


 名塚さんが、みんなにも見えるようにプロフを出す。


 すると、空中にアンドレアさんの顔が映し出された。


「カジノが見つかったぞ、そこをチェックして終わりだな」


「カジノー!」


 優が喜んでいる。


 四つ葉のクローバーを売りたくて悶えていたから、実装されて良かった。


 これで、ストレスから解放されるね。


「カジノで喜んでちゃ駄目だぞ、子供なんだから警備だけにしておけよ」


 アンドレアさんは、まともな大人のようだ。


 口うるさい、おじさんキャラなのかも知れないけど。


「やっと、貯めてきた幸運アイテムを売れるね」


「やったー! やったー!」


「いつ売るのか、タイミングは需要だヨ」


 優が絶望的な顔になる。


「ま、まだ駄目なのぉ……」


「も、もういいよ、売っちゃおう、わたしも売るから」


「ここまで我慢してきたんだから、最高のタイミングで売らないト」


「どこ? 最高のタイミングどこ!?」


「それがわかったら、投資のプロになれるヨ」


「エミリーは、からかっているだけだから……」


 もう、気にしないで売った方がいい。


「俺は、このマップはもういい、第5階層の警備に戻るぜ」


「わかりました、こちらはお任せ下さい」


 まぁ、確かに、アンドレアさんが楽しめるマップじゃないと思う。


 もっと若者向けというか、子供向けというか。


 家族連れなら、また違った見方もできると思うけど。


「カジノ案内しテ」


「こっちの方みたいです」


 名塚さんに着いていくと、お城みたいなのが見えてくる。


 まさかあそこ?


 すごい広そうなんだけど……。


「あのお城がカジノみたいですね」


「リアルだと、昔のお城をカジノに流用したとか逸話があるんだけド、初めからカジノ用に造ったお城だから、ちょっと下品だネ」


 荘厳なお城とか、かわいい感じのお城とかではない。


 なんか、ちょっといかがわしい感じのお城だ。


「人がいっぱい集まってくるねぇ」


 カジノの噂が流れているんだろう。


 たくさんの人が集まってきていた。


「入ってみましょう」


 中に入ってみると、やっぱりゴージャスというか、いかがわしい感じの作りだった。


 内装がもう、わたしの行ったことがあるどのお店とも違う。


「プレイヤーがいっぱいですね」


「運営も、ウハウハでショ」


 みんなお金を吸い取られてしまうんだろうか。


 ギャンブルなんて、大元が儲かるようにできているんだから、冷静になればやりたくないんだけど……。


「何がもらえるのかが重要だよね」


「そこだヨ」


「交換できるアイテムがすごかったら、私は入り浸るかも」


「駄目だって、コツコツ貯めたのが無駄になっちゃうでしょ」


「話を聞いてみましょうか」


 メイド服のNPCのお姉さんに、名塚さんが話し掛けていった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ