表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/164

第十三話 漁夫の利作戦


「砂緒はやらせない! <セイクリッドヒール>!」


「なにっ!?」


「ぐわああぁぁっ!」


 神官らしき姿の優が、セイクリッドヒールでダメージを与えてきたことに、相手は混乱していた。


 pvpに慣れているほど、予想外な動きなんだろう。


 セイクリッドヒールは範囲回復だから、ダメージも範囲ダメージになっていた。


「ヒールで攻撃!? なんだこれは!?」


 相手が驚いているのを見て、わたしはちょっと落ち着いてきた。


 陣形を組むように、盾役が前に出て来るのを見逃さない。


 わたしは、盾の横に回り込むようにしながらスキルを放つ。


「<クアドラブル・エアブレード>」


 4連撃×2回攻撃の手数技だった。


 タンク相手には、一撃が重い攻撃の方がいいんだけど、その全てがクリティカルになるなら話は別だ。


 一瞬で8回クリティカルを食らったタンクは、盾と一緒にデータの藻屑と消えた。


「フェンサーだ! 魔法で落とせ!」


 相手のリーダーは、焦りながらも的確に指示を出している。


 多分、初めて見た技だと思うけど、pvp慣れしてそうだ。


「<ナイトブリンガー>」


 アタッカーらしき大剣使いが攻撃してくるが、その攻撃があらぬ方向に逸れた。


 完全回避だ。


「完全回避か! 高レベルだぞ!」


 アタッカーが叫ぶ。


 魔法使いらしき人が、短い詠唱で魔法を構築する。


「<バインドアイス>」


 攻撃魔法じゃ無くて、状態異常できたか!


 やっぱりpvpに慣れている!


 わたしの足下が氷り始めるけど……星海の武具の効果で一日10回は魔法無効だった。


「えっ!? レジスト!?」


 氷が消えてしまう。


 そして、相手の神官がアタッカーのダメージをヒールで癒していた。


 リーダーらしき双剣使いは、ポーションで回復している。


 この人は、魔法も使いそうだな。


「<セイクリッドヒール>」


 そこに、もう一発、優のセイクリッドヒールがぶちかまされた。


 優は回復魔法系のスキルをいっぱい取っているので、ダメージがえぐいことになっている。


「連続で!?」


 相手のリーダーが困惑している。


 <セイクリッドヒール>は、技の隙、いわゆるディレイが長い魔法だから、連続してきたことに驚いたんだろう。


 神罰の杖の効果で、ディレイが短くなっていた。


 初見殺しだったかも知れない。


 回復していなかった魔法使いと神官が、データの藻屑になった。


「くそっ! なんだこれは!?」


 アタッカーが毒づいている。


 でも、わたしは、もう魔法を唱え終わっていた。


「<ワルキューレブラスト>」


 残っていたふたりを、ワイドショットな精霊魔法で倒す。


 リーダーらしき人は、こんな馬鹿なという顔をして消えていった。


 これで5ポイントかな?


「やったー! 砂緒ちゃんやったよ!」


「いえーい!」

 

 ハイタッチする。


 ちょっと緊張したけど、初戦はやり過ごせたようだ。


「いけるよ! この杖すごい! 回復力がすごくアップしてる!」


「良かったー、いきなり敗退かと思った」


 優の攻撃が上手くはまっている。


 相手の前衛のHPでも半分は削れていそうだった。


「でも、これだとすぐに相手がいなくなりそうだね」


 生き残ってもポイントが低い感じかな?


 まぁ、それでもいいんだけど。


「じゃあ、思い切って大通りに出てみる?」


「ううん、ダメダメ! 大通りは乱戦だろうから、このまま路地裏で待ち構えようよ!」


「ちょっと聞き耳してみる」


 スカウトのスキルである聞き耳をすると、聴覚が鋭くなる。


 小さな音や遠くの音を聞くのに便利だった。


「あんまり……大通りに面したところでは、戦闘が行われていないかな?」


「みんなそこまで行き当たりばったりじゃないんだね」


 戦闘の音は、カンカンキンキンと聞こえてくるから、人はいるんだろう。


「この辺にも人がいるだろうから、探しに行こうか」


「待ち構えているのかな?」


「バトルロイヤルの基本は、戦わないで待つことだと思うけど、ポイント制だからなぁ」


「建物の中に入ろうか?」


 アイテムとか落ちている可能性はある。


 一旦隠れるにも都合がいいだろう。


「待って! すぐそこで戦闘が始まった!」


「……っ!?」


 優が、耳を澄ますようにしながら黙り込む。


 そして、ウンウンと頷いていた。


 わたしは、そっちの方向を指差す。


 優が、指で丸を作った。


 漁夫の利作戦だ。


 相手が傷ついているところを狙おう。


「ウォークライ!」


「エクスバーン!」


 戦いが始まっている。


 わたしは、近くの建物を指さした。


 中に入って、窓から魔法で攻撃しよう。


 優は理解したようで、わたしに着いてくる。


「二階に昇ろう」


「ちょっとずるい作戦だけど、ドキドキする」


 階段を上りながら、そんなことを話す。


 そして、戦いがある真上の部屋から下を覗いてみた。


 わたしたちには気が付いていない。


 やるなら今だ。


 優と頷き合う。


「<セイクリッドヒール>」


「<ワルキューレブラスト>」


「ぐわあぁぁっ!」


「なんだっ!?」


 いっぱいいた敵が、タンク二人だけになっていた。


 呆然とお互いを見ている。


 わたしは二階から飛び降りると、元気そうなタンクの方を攻撃する。


「<クアドラブル・エアブレード>」


 タンクが、その場で塵になった。


 残りは一人だ。


「くっ! 汚いぞ!」


「だって、バトルロイアルだよ?」


「<エクスヒール>」


「ぐわあああっ!」


 残ったひとりも、優の魔法にやられて消えていった。


 10ポイントくらい入っただろうか?


 現在の順位とかは見られないみたいだ。


 優も、わたしの真似をして二階から飛び降りてくる。


「おっとっと」


 ちょっとよろけるのを助けた。


「危ないよ」


「あはは、ありがとう」


 割と順調なんじゃないだろうか?


 たまたまという部分もあるけど。


「路地裏が迷路みたいになってるから、足音で探そうか?」


「この作戦で行ってみよう」


 わたしたちは、足音を殺すようにして路地を走り始めた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ