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第百二十話 4匹目のペット


 イベント二日目の土曜日。


 お昼過ぎの時間だった。


「あっ」


 なにか連絡が来ている。


 タップしてみると、ギルドスキルの投票結果が出たみたいだった。


「ギルドスキルの投票結果が出たよ」


「決まったんだネ、これからは全員投票じゃなくて、時間で区切ってもいいかもネ」


 全員が投票するまで待っていたから、時間がかかってしまった面は否めない。


 その代わり、ギルドレベル2で取れるスキルも一緒に投票していたから、そこはスムーズだった。


「ギルドを作ったときにふたつ取れて、ギルドレベルが上がったからもうひとつ取れるんだっけ?」


「そうだよ、だから今回取るスキルは3つだね」


「1位はナニ?」


「1位はもちろん、経験値ブーストだよー」


「優が正解、一番投票が多かったのは、経験値ブーストでした」


 やっぱり、先を見据えて、これがいいと判断した人が多いみたいだ。


 これを取っておけば、次のスキルが取りやすくなるんだから、早めに取っておいたほうがいいよね。


「みんな論理的なんだネ、もっと火力に直結するとか、強さを求めると思っていたヨ」


「だからこその投票でもあるしね」


「次が、ガチャ券ドロップ率アップかなー?」


「優すごい、どうしてわかるの?」


「だって、私が欲しいからわかるよー」


 そういうものだろうか?


「普通の代弁者なんだネ」


 このゲームは、アイテムの直ドロップよりも、ガチャ券を手に入れることが多い。


 これも、先を見据えているという意味では、早く取っておこうという感じなんだろう。


「でも、3つ目はわからないかなー?」


「1位と2位からして、移動速度アップかナ?」


 移動速度は、みんな上げたがっている。


 狩りをするのも効率が違うし、移動も時間がかからない。


「おしいかな、3位は加護のランクアップでした」


「加護かー、うーん、いいんだけどねー」


「優は、救済の祈りだっけ?」


「そうだよ、バフの効果が上がるの」


 これもレアっぽいけど、上がる率にもよるのかな?


「エミリーの加護はなんだっけ?」


「話してなかったケド、槍とアルケミスト魔法の効果が上がる、錬金の槍だヨ」


「すごい、まんまなんだね」


「アルケミストが上がれば何でも良かったから、加護に合わせてみたんだヨ」


 錬金術師をやりたかったのか。


 人は色々だね。


「みんな、自分の特色にあった加護を持っているからね、それを強くしたいのかな」


 でも、わたしの場合、また拙いことが起きそうな気がする……。


 加護が昇格して、ダイフクとタマが仲間になった。


 そこに、最下層と宇宙船マップが付いてきたんだけど……今度はどうなるんだろう。


 でも、投票の結果を無視するわけにはいかない。


「みんな早く上げて欲しいと思ってるよ」


「そうだネ、早い方がいいヨ」


 さすがに、これは、ギルドマスターだけの権限だ。


「ごめん、ちょっと用事があるから、いったん別れるね」


「えー」


「怪しいナ」


 ふたりがいぶかしむような視線を送ってくる。


 でも、何が起きてもいいように、マイルームに行っておこう。


「じゃあ、ごめんね、一時間くらいで戻ってこれると思うから」


「あっ!」


 わたしは、マイルームにポータル移動した。






「さてと、じゃあ上げてみましょうか」


 まずは、経験値ブースト。


 これは、問題なく上がる。


 ステータスアイコンに、矢印が↑のEXPアイコンが付いた。


 これで、更に早くギルドスキルも取れるだろう。


 そして、ガチャ券ドロップ率アップ。


 これも、新しいアイコンが視界の邪魔にならないところに並んでいた。


「さて、いよいよ」


 ギルドスキル、加護ランクアップを取得する。


 何も起きないかな……?


 すると、部屋が揺れ始める。


 やっぱりきた!


 例の地震だ。


 そして、空間がパリーンと割れる音がして、黄色い物体が現れた。


「ぴよぴよ」


「…………」


 スズメ……じゃない、ひよこ? いや、にわとりのヒナじゃない、なんの鳥かわからないけど、角が生えた鳥のヒナだった。


 わたしを親だと思っているのか、すり寄ってくる。


 キャトルミューティレイションじゃなくて、なんて言うんだっけ。


「みゅうみゅうー!」


「ぴゅーい!」


「わっ!」


 突然、ダイフクとタマが現れて、ひよことじゃれていく。


 ひよこは、ちょっと戸惑っているようだけど、ピヨピヨ鳴いている。


 そして部屋の角……そこには、穴が空いていた。


「…………」


 今度は、どこに繋がっているんだろう。


 まぁ、まずは、この子に名前を付けるところからだ。


 ピヨピヨしているからぴよちゃん?


 いや、先輩がダイフクとタマだから、もっと縁起のいい名前にしよう。


 正月、初夢、果報は寝て待て……カホウにしようか。


「君は今日から、カホウだよ」


「ぴーぴー!」


 喜んでいるようだ。


 こんなかわいい見た目してるけど、滅茶苦茶強いんでしょ?


 ステータス画面を見てみると、加護が星運聖霊獣から極運聖霊獣に変わっていた。


 天運の上が星運で、その上が極運?


 天と星を超えて、極楽浄土に行っちゃったのかな?


 獄じゃなくて良かったと思っておこう。


 多分、運に関するものが更にパワーアップしていると思うけど……。


 わたしは3匹を連れてカホウの部屋に入っていく。


 そこには、やっぱり扉があった。


 どこに繋がっているのか……。


 わたしは、そこに入っていった。


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