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第百十六話 無人の砦


「やりました! ボク達の勝利です!」


「うおおおおおぉぉぉぉぉっ!」


 五千人くらいいるだろうか?


 結構すごい雄叫びだった。


 クモがいたところに宝箱が落ちる。


 アンドレアさんがそれを開けた。


「ギルド金貨だ! これでなんかできるだろ!」


「うぉぉぉぉぉぉっ!」


 まさに熱狂という感じだった。


 敵も強かったし、変なスイッチが入ってるのかも知れない。


「経験値すっごい上がったよ」


「ギルドダンジョンの一時間分くらいかな?」


 近くにいる人が、そんなことを話している。


 それは、すごい効率のようだ。


「オレは、なんかもらったぞ!」


「俺もアイテムゲットした!」


 どうやら、ランダムでボスのドロップをゲットできるようだ。


 わたしも、何かもらっている。


「また敵が来るでしょう! それまで休んでください!」


 声が大きいのは、指揮官として必要な才能なようだ。


 名塚さんにはピッタリだと思った。


 みんながギルドアジトに引き上げていく。


「砂緒ちゃん、空飛べたんだねぇ」


「うん、アイテムの効果だよ」


「いいなぁ、早く乗り物が欲しいよ」


 乗り物の解放はいつなんだろうか?


 もう、海マップで孤島を探している人も居ないだろうに。


「ユウ! スナオ! この隙に周りを調査しに行こウ!」


 エミリーは、いつも通り好奇心旺盛だった。


 さすがは学問の探究者。


「ボクも行きます!」


 名塚さんも合流した。


 好奇心じゃなくて、ジッとしていられないタイプだと思う。


「アンドレアさんに留守を任せても大丈夫?」


 滅茶苦茶をしたりしないかな。


「大丈夫ですよ、止めてくれる人もたくさんいます」


 まぁ、名塚さんが寝てる時間とか、そういうこともあるだろうから、いいか。


 四人で、周りの探索に赴いた。






 道が延びている。


 ギルドアジトの周りには森があって、道から外れてみると、その中には湖とか湿地帯とかもあった。


「きれいなところだねー」


 優の髪が、風になびいて美しい。


「オマキレ」


「なんですか?」


 エミリーが変なことを言って、名塚さんが質問している。


 でも、本当に風光明媚という感じの場所だった。


 道に戻ると、前に進んでいく。


 しばらく歩くと森から抜けて、建物が見えてきた。


「誰かいるのかな?」


「いきなり戦いにりますかね」


 ちょっと緊張しながら歩いて行く。


 他のギルドの建物だったら大変だ。


 近くに寄ってみると、ギルドアジトというには、少し小さい建物だった。


 それでも、1000人くらいは入れるだろうか?


 体育館を、一回り大きくしたくらいの広さはある感じだ。


「この建物は、他のギルドのものじゃないと思います」


「どうしてそう思うノ?」


「入口の門に、ギルドフラッグの紋章があるんですが、まだ旗が決まっていないうちのギルドでも、簡易的な紋章がはまっていました」


「よく見てるねぇ」


 優が感心している。


 表札みたいなところが、確かに空だ。


「じゃあ、もらっちゃっていいのかなぁ?」


「でも、もらったら管理しないといけないから」


「それもそうだね」


 攻められたらと思うと、人を手配しないといけないし、微妙なところだ。


 門も閉まっていない。


 ギルドアジトではない様子だった。


「いわゆる砦かナ?」


「そういうのもあるんですかね」


 ここから、東西南北に道が続いている。


 蒼天騎士団のギルドアジトに行くには、この砦を通らなければ行けないようだった。


 もちろん、道を通らなければ行けるけど。


「ここ、結構重要かも」


「そうですね、ここも、レベルアップさせられますか?」


「まずは、この砦を手に入れないと駄目じゃないかナ?」


「じゃあ、入ってみる?」


「行こウ」


 そろそろと、四人で中に入っていく。


「おじゃましまーす……」


 ちょっと小声で、でも聞こえるようにはっきりと。


 砦の中は、ギルドアジトの簡易版みたいな感じだった。


 防壁に囲まれているから、戦いもできるんだと思う。


 砦の中を探すと、ひとつの部屋に水晶の柱のようなものがあった。


「これは、ギルドアジトにもあったね」


「これをコワされたら、負けなんでショ」


「一橋さん、お願いします」


「ど、どうすればいいんだろう?」


 取りあえず触ってみる。


 すると、この地域を治めますか? と出た。


「この地域を治めますか、って」


「はい、でお願いします!」


「じゃあ、やろうか」


「はい」


 わたしは、それに応えた。


 すると、水晶のとなりに、今の簡易的なギルドフラッグが現れる。


 この砦は、蒼天騎士団のものになったようだ。


「ふー、何も起きないね」


「緊張しすぎだヨ、心配ない心配なイ」


「他にも、砦があるか探してみましょうか」


「手当たり次第に治めるわけじゃないよね?」


「一点集中なら、ここを守れば良さそうだけド、せっかく人数がいるんだから、勢力圏は伸ばしておきたいよネ」


 砦の外に出る。


 東西はそのまま平原で、南に進むと川があるようだった。


 三方向に、新しい砦が見えている。


「南に行きましょう」


 川が気にになるのかな?


 特に反対もなく、そのまま進んでいった。


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