ぼくのお父さんは人殺しだ
――ぼくは時々、夢を見る。
その夢で、ぼくは井戸のそばに座っている。井戸の底からは、不思議な歌が聞こえる。それはぼくを安心させ、落ち着かせてくれた。でもそれは、井戸なんかじゃないし、自分でも何なのかはよくわかっていない。
……ぼくのお父さんは人殺しだ。
そのことを知ったのは、偶然だった。お父さんの部屋で、ノートを見つけたのだ。そのノートには、今までに殺してきた人たちのことが、詳しく書かれていた。名前、住所、生活スケジュール、殺害計画、その結果――
でも、そのことをぼくは気にしたりしない。だって、ぼくには関係のないことだからだ。それは世界の裏側で起こったのと同じことだった。ぼくには何の影響もないし、興味もない。日常に支障さえなければ、お父さんが人殺しだったとしても、たいした問題じゃない。
お父さんは今日も朝ごはんを食べるし、ぼくは小学校に行く。
でも、ある日、そのノートにクラスメートの名前が書かれていて――
(16/6/30~16/7/7)
その夢で、ぼくは井戸のそばに座っている。井戸の底からは、不思議な歌が聞こえる。それはぼくを安心させ、落ち着かせてくれた。でもそれは、井戸なんかじゃないし、自分でも何なのかはよくわかっていない。
……ぼくのお父さんは人殺しだ。
そのことを知ったのは、偶然だった。お父さんの部屋で、ノートを見つけたのだ。そのノートには、今までに殺してきた人たちのことが、詳しく書かれていた。名前、住所、生活スケジュール、殺害計画、その結果――
でも、そのことをぼくは気にしたりしない。だって、ぼくには関係のないことだからだ。それは世界の裏側で起こったのと同じことだった。ぼくには何の影響もないし、興味もない。日常に支障さえなければ、お父さんが人殺しだったとしても、たいした問題じゃない。
お父さんは今日も朝ごはんを食べるし、ぼくは小学校に行く。
でも、ある日、そのノートにクラスメートの名前が書かれていて――
(16/6/30~16/7/7)
(魂だけになるくらい軽くなったとしても)
2021/06/20 00:00
(雀はいつも通りに騒々しく餌を探している)
2021/06/21 00:00
(カチン――音がして、留め具が外れる)
2021/06/22 00:00
(ロボットみたいに、何も考えず、地球の裏側にでもいるみたいに)
2021/06/23 00:00
(まるで天体観測か、地質調査でもしているみたいで)
2021/06/24 00:00
(土をかぶせてしまうと、猫はどこにもいなくなった)
2021/06/25 00:00
(決められた約束はきちんとはたされる)
2021/06/26 00:00
(あるのはただ、凡庸といっていいくらいの理解だけだった)
2021/06/27 00:00
(どっちがより悲劇的なんだろう?)
2021/06/28 00:00