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ベルの夢 4


 その後、僕達は街の宿に帰った。ギルドに報告する気力もなく、僕は一人でいるには少し広い部屋で茫然としていた。

 後悔をするわけでもなくただもう戻れないのだということを感じていると、ドアが叩かれる音がした。


「ベルさん、いますか?」

「……エリン?」


 ドアを開けると、エリンが立っていた。

 エリンは目を赤く濡らしており、その瞳はおぼろげに揺れていた。


「ベルさん、お姉ちゃんが……」

「……リリアさんが?」

「冒険者は、もうやめようって……」

「……」


 僕はその言葉を聞いて、安堵した。

 僕は冒険者をやめるだなんて微塵も考えていなかったのだ。僕の心はまだ折れていないのだ……と。

 そして、そんな僕の気持ちに失望もした。


「ベルさんは、どうするのですか……?」

「僕は……」


 何も言葉にできなかった。

 こんな気持ちで、何が言えるというのか。

 仲間が心を折らして安堵する。そんな人間に冒険者をやる資格なんてあるのだろうか。


 ……ジルがいたら、こんな僕を殴ってくれただろうか?

 エリンにこの気持ちを伝えたら、軽蔑してくれるだろうか?


 そうして他人に許されないと、僕は前に進めないのだろうか?


 僕に、冒険者を続ける資格なんか───


「私は、続けます」


 僕の思考を遮るように、エリンが言葉を投げた。


「私には、諦めきれない夢があるから」


 エリンの瞳がまっすぐ僕を見る。

 諦めきれない夢。

 ジルにも、夢があった。それを知っているのは、きっと僕だけだ。

 ジルの夢は、もう終わってしまったのだろうか?

 ……いや、まだだ。僕が生きている限り、ジルの夢は終わらない。終わらせてはいけないのだ。



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