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セロの旅路 19



 それから穏やかな四日が過ぎ、俺は再びギルドを訪れていた。

 なんでも耳に入れておきたいことがあるとかで、ギルド長に呼び出されたのだ。


「これはセロ様。わざわざお越しいただきありがとうございます」

「どうも」

「それでですね。これは先程入ってきた情報なのですが、水の都で水源汚染が発生したという情報が入りまして」


 うん?水の都?


「そして、調査した結果なぜか水源の浄化をしていたウンディーネが消えたとのことでして、一応前回依頼を解決して頂いたマジックナイツの方々にお知らせをと───」

「…………はい」


 間違いなく俺のせいだわ。

 いや、ほんと、わざとじゃないんです。あの時は何というか仕方なくというかほんとわざとじゃないんですほんと。すみません。


「まあ、ここからだと水の都も遠いですし、一応お耳にってだけなんですけどね」

「ははは。ありがとうございます」

「いえいえ。今日出発なさるのでしょう?なんでもフォーレンを目指すのだとか。お気をつけて」

「これはご丁寧にどうもー」


 慌ててギルドを去る。

 三人はギルド前で待機しており、俺が出てきたのを確認すると、とてとてと寄ってきた。


「なんの用だったのじゃ?」

「……」

「どーしたのー?」

「どうしたんですか?」


 三人の顔を見て、俺は宣言した。


「お前ら、目的地変更だ」


 時間が一秒でも惜しかった俺は、すぐに水の都を目指して出発した。




「のう、これは来た道を戻ってはおらぬか?」

「ああ。また龍の谷を抜けるから、インフェルノちゃんに運んでもらいたいんだが……」

「それは構わんが、どこに行くんじゃ?」

「水の都だ。龍の谷を北西に抜けたところにある」

「えー?みずのみやこー?」


 俺達の会話を聞いていたウンディーネちゃんが、不満の声を上げた。


「やだー!ほかのとこがいいー!」

「……いや、ウンディーネちゃん、聞いてくれ」


 それから俺は、水の都の現状を三人に話した。


「やだやだやだー!つまんないー!」


 ウンディーネちゃんは水の都に戻るのが嫌なようで、駄々をこね始めてしまう。確かに考えてもみると、地下水源に一人きりというのは実質牢獄のようなものではないのだろうか?

 俺はこの話を聞いた時に、ウンディーネちゃんを水の都に戻すべきだと違和感もなく思ったが、本当にそうなのだろうか?


「のう、その地下水源とやらは多少汚染されたとて何か問題はあるのかの?」

「俺もそこまではなあ……」


 ギルド長はどの程度汚染されているのかは言っていなかったが、少なくともあの落ち着きようならそこまで重度ではないだろう。


「このままでいいんじゃないですか?」

「魔王軍の手先は黙ってろ」

「はぅん!」


 このアホは放っておくとして、再度ここで決を採っておくことにした。

 俺は頭のどこかでまだ一人旅のつもりでいたのかもしれない。こいつらは、人ではないにせよれっきとした俺の仲間達だというのに。


「ま、行って確かめるしかないじゃろ」

「俺もそう思う」

「やだやだやだー!」

「無視しましょう!」


 賛成二。反対一。俺達の次の目的地は、改めて水の都に決定した。


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