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セロの旅路 13


 そのまましばらく歩いていくと、段々と湿り気が強くなってきて、湿地地帯へと突入してきた。


「ここらから魔物の魔力反応がちらほらあるのう」

「強さとかはわかるのか?」

「あくまで分かるのは魔力の量や質じゃ。魔力的には大したことは無いがの」


 湿地地帯に現れる魔物といえば、やたら魔術耐性が高い魔物が多いのが特徴だ。たしか魔術を使う魔物は少なく、鈍足怪力型の魔物が多い。逃げることは簡単だが、討伐する人が少なくて定期的に数減らしのクエストが貼り出されるというのが湿地地帯の魔物の定番だった。


「ということで、ちらほらいる程度なら討伐したばかりだろうから、俺らは逃げるぞ」

「そうじゃな。そういう事なら無視安定じゃな」


 俺の意見にインフェルノちゃんが同意する。


「まものたちたおさないのー?いいまものなのー?」


 ウンディーネちゃんはあまり理解してないようだった。


「悪い魔物じゃが、倒しすぎるのも良くないということじゃ」

「なんでー?」

「生態系が云々という話じゃが…おぬしにはちょいと難しいかのう」

「よくわかんなーい」

「今はそれでよい」


 ウンディーネちゃんは納得したのかしてないのか、それ以上は追及しなかった。ただ、何がそこまで楽しいのかスキップをしながら進んでいたが……笑顔が眩しいッ!

 楽しそうに話すインフェルノちゃんとウンディーネちゃんを横目で見ながら、俺は幸せをかみしめていた。断じて父性とかいう話ではない。

 インフェルノちゃんの魔力感知を頼りに進んでいくと、数日かけた末にようやく湿地地帯を抜けることが出来た。

 そして湿地地帯を抜けると、すぐにヤヒムの街が見えてきた。しかし、ヤヒムの街に入るためには一つ問題がある。


「そういえばお前らは身分証明書とか……あるわけないよな」

「そうじゃな」

「なにそれー?」


 反応はそれぞれだが、やはりどちらも持っていないようだ。俺はギルドカードが身分証明書となるので問題のだが、二人をどう入国させたものか。

 いや、そもそも人に化けた魔物や犯罪者を街に入れないための制度なので、この二人は本来入れないのは当然なのだが……


「おぬし、S級のギルドカードなんじゃろ?S級パワーでなんとかならんのか?」

「なんとかって言われてもな……」


 確かにS級のギルドカードは色々融通してもらえるのだが、そこは試したことがないのでなんとも言えないところだ。


「しかし、それくらいしか方法が思いつかないのじゃが」


 インフェルノちゃんが言うことにも一理ある。


「わたしたち街に入れないのー?」


 ウンディーネちゃんが悲しそうに見つめてくる。うっ……なんとも可愛らしい……


「まあ、無いもんはしょうがないか」


 少し方法はないかと考えたが、どう考えても合法的に行くのは無理だろう。S級パワーでどうにもならなかったらその時はその時だ。

 そもそも、俺のことを知っている人が門番だったら問題はないだろう。

 それに街に行く目的は一息つくためなので、最悪は入れなくても問題無いのだった。


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