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第5話 マールイ王国、傾く

 一方その頃。


 なんだ!?

 何だというのだ!


 大切な友好国との会談を、国王がキャンセルするといい出した。

 気分が乗らないらしい。


 これまでもそんな駄々をこねた事が何度もあったが、ここまで致命的な状況になることはなかったのに。


「あの愚王め! かの国との仲が悪くなればどうなるか分かっているのか! くそっ! 私が政治を行うようになって早々、ケチが付くわけには行かないのに!!」


 どうやってキュータイ三世をその気にさせる。

 今まで、あの王に仕事をさせていたのは何だったのか?


「お、恐れながらガルフス大臣」


 侍従長がビクビクしながら声を掛けてくる。


「陛下は、面白い芸を見ないと気持ちが晴れないと仰せで……。以前はオーギュスト殿がそれを一手に引き受けて下さっておりました」


「阿呆か!! 愚王め!! よりによってあの道化師絡みか!」


 オーギュストがいなくなった途端にこのザマなのかと、大臣は呻く。

 何だというのだ。

 どうしてケチが付き始めている?


 どうやってこの場を凌ぐ……!

 ガルフスは必死に頭を働かせようとする。


 だが、問題はそれだけではなかった。


「恐れながらガルフス閣下!!」


「今度は何だ!!」


 飛び込んできたのは騎士である。


「はっ! 我が国と国境を接するガッテルト王国から、我が国に猛烈な抗議が……!」


「なんだと!?」


「そのう……試合をやったのですが、騎士団長が自ら、向こうの騎士団長の手足を折るほどの大怪我をさせまして……。面子を傷つけられたとガッテルト王国が……」


「なんだと!? 加減というものを知らんのか!!」


「いや、その、試合の作法や取り決めはオーギュスト殿が担当していたので……」


「またオーギュストか!! 追放したあいつが、なぜ何度も私の前に立ちふさがる!! おのれ、おのれーっ!!」


 怒りのあまり、ガルフスの血管は今にも切れそうだった。

 自ら、試合の段取りすらできないのか、我が国の騎士は!

 そんな憤りと、どこまでオーギュストが関わり、手を回していたのかにそら恐ろしくなってくる。


「なぜだ……! なぜこうなった!」


「恐れながら閣下! ご報告申し上げます!! 我が国の外交官殿がやらかしを……」


「またかーっ!!」


 かくして、マールイ王国の平和は終わりを告げる。

 それは、安寧を保つために尽力し続けてきた一人の男の存在が失われたからであった。

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― 新着の感想 ―
[一言] 一人の天才に(気づかぬうちに)依存していた国が、天才がいなくなった途端、この体たらく…。 ナポレオン時代の、ナポレオンのいないフランス軍もかくや…。
[一言] 外国の人のほうが、評価高かったのね。
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