心境と学園と
あの日から数か月。何とか6歳までの記憶と今の私が馴染んできたと実感する。
最初こそ両親を呼ぶときに抵抗があり苦労したけど、今では違和感なく呼べている。
天界に居た頃では考えられない程、私は大きく変わってきていると思う。
ソルからも「お前、人間臭くなったな。」と言われた。
多分これは感情と呼ばれるものの成長なのだろう。
体で四季を感じ、両親から愛情を感じ、両親を少なからず尊敬する気持ちも生まれた。
これが主様から言われた私に足りないところなのだろうか…。
とある日、両親とテラスでお茶を楽しんでいる時だった。
父であるエヴァンから
「アーシュ、来月からの魔術学園だが本当に寮に入ってしまうのかい?」
と問われる。一応、我が家から学園までは通学できる距離である。その上、貴族ということもあるので転移魔方陣を使用し通うことも出来るのだが、私は入寮を決めていた。
「はい。私は早く一人前になって二人を安心させたいのです。」
と答えておく。やはり、両親との関係に慣れてきたとはいえ多少なりとも心境は複雑なのだ。
二人とも少し寂しそうな顔をしながらも了承してくれた。
そしてあっという間に入学の日を迎えた。