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ゲーム開始と調合スキル

ピンポーン!


 きた、きた、きた!

 ついに来た!


 俺が今日という日をどれだけ待ち望んだことか!


 俺の名前は一ヶ鵺(いちがや)浅深(せんみ)。今年から大学生だ。

 元々は高卒(高専を卒業した時点)で仕事を始める予定だったのだが、高2の時に世界で初めてフルダイブ型VR機器が発売された。当時は初のフルダイブ型VR機器だという事もあってか、需要と供給が釣り合っておらず値段は実に10万以上もしていた。


 俺も初のフルダイブ型のゲームをやってみたかったのだが、流石に高校生のお小遣いで買える値段な訳もなく、泣く泣く親に相談した。

 すると親は大学への進学を条件に買ってくれることを約束してくれた。まあ、浪人した場合はこの話は無しという事になったのだが、無事大学には合格。とある大学への編入という形となった。


 そして待ちに待って約4年。

 実家から出て県外への大学へ通うこととなったのだ。

 大学へは近所のアパートから通うこととなり、進学(編入学)記念のような形で親から最新型VR端末が送られてきた。名前をソミュアムという。


 そして俺が始めるゲームの名前は、(ビジターズ・)(デウス・)(オンライン)というVRMMOだ。

 VDOは簡単に言えば剣と魔法の世界をコンセプトとしたゲームだそうだ。

 VDOの開始は明日の正午から。それまでに自分のアバターと開始する国を選ぶらしい。

 最初に選べる国は全部で7つ。


 戦士の国、ハーメル。戦士の国という通り、戦うことを第一とし決闘は日常茶飯事。ハーメルでの信条は『戦士は常に弱者を守るものだ』という事だ。


 魔法都市国家、ルームサル。名の通り魔法の研究が他の国に比べ圧倒的に進んでいるらしい。ルームサルでの信条は、『知識は最強の矛なり』だそうだ。魔法をうまく使いたいのであればここに行くといいらしい。


 機械仕掛けの国、シノアル。国中に機械が張り巡らされており、他の国々に比べても数世代は化学が発展しているそうだ。シノアルの信条は『モノづくりを楽しめ』らしい。


 和の国、ジーマル。忍者や侍なども多くいるらしい。だが、他の国々に行くのは大変なので、ジーマルを選ぶ人は他の国に比べ減ると予想される。ジーマルの信条は『常に落ち着きを保て』だそうだ。


 ここまでが主に人族が住んでいる国々である。

 あとの3つは一まとめに亜人とも評される種族の国である。


 森の国、ケーノス。獣人やエルフが多く住む国であるため、ファンタジー好きや動物好きが多くここに集まると予想されている。信条は『種族の垣根を超え平等に接する』だそうだ。


 地の国、ラグーン。龍人やドワーフが多く住む国であり、他の国に比べ大地人(NPC)が強く、武器も強いものが多いのではないかと予想されている。信条は『大地神の御心のままに』だそうなのだが、はっきり言って何を言ってんのかさっぱりだ。


 魔の国、フルース。(人と見た目が)(変わらない種族)魔族(魔獣の特性を持つ魔人)が多く住む国である。信条は『強気者こそ正義』であり、唯一PKのペナルティがかせられない(死亡時はかかります)国であるらしいのだが、ともかく周囲の魔獣が他の国に比べて強いため、超上級者向け、玄人向けと呼ばれる国である。





 とそんなこんなしているうちに、VR機器の設置が完了した。

 母さんが奮発してくれて、現在の価格で言うと20万ほどする、ゲーム時に体が固まりすぎないように出来る、カプセル型のVR機器なので、基本業者の人が取り付けに来てくださる。


 それじゃ・・・


「リンク、オン!」


 徐々に瞼が重くなっていき、そのまま意識が途切れた。






「はいはーい!いらっしゃいなのですよ!

 私は初期プレイヤー案内AIのノノなのですよ

 ではまず、ゲーム内での名前をお決めくださいなのですよ」


「分かった」


 浅深の前にキーボードが現れた。

 名前は以前から決めてたんだ。


「グリヴで頼む」


 名字の鵺からトラツグミ。トラツグミからツグミで、ツグミをフランス語にして『グリヴ』だ。


「承知しました!なのです!

 名前はグリヴで登録なのですよ

 続いて種族の選択なのですよ

 行く国が決まっているのならば、その国に合わせて選択するのもありなのですよ

 でも、全ての国が他種族国家なのでどの種族にしても問題は無いのですよ

 では、ここから選ぶのです」


 今度は種族とその特性が書かれたパネルが出てきた。


「ここからタップして選べばいいのか?」


「そうなのですよ

 タップすれば自動的にその種族に変更されるのですよ」


「分かった。俺の選ぶ種族は・・・これだ」


「人族なのですね

 カッコつけていた割には、ランダム機能を使う訳でもなく、何の変哲もないごくごく普通の種族を選んだのです」


「うっせぇな!ほっとけよ」


「AIにだって自意識があるのですよ

 それはそうと、グリヴの種族登録は終了なのですよ

 では、姿を決めるのです

 ベースはグリヴの現実の身体なので、大きな変更は出来ないのですよ」


「じゃあ、髪は銀髪に青色のメッシュ、目の色は金で」


「おお!中二病なのですよ!」


「うっさい!俺の自由だろうが!」


「ま、別にいいのですよ

 グリヴは元が良いから、何でも似合うと思うのですよ」


「お、おう・・・ありがと」


 あおりからの急な誉め言葉で感謝の言葉が出しづらかった。


「じゃあ、ステータスの選択に移るのですよ

 まずは職業選択なのです

 最初に選べる職業は下位職の中から選ぶのですよ」


 下位職とは言っても種類はかなりあるようだ。


「じゃあ、薬師にしてくれるか」


「ん?薬師なのです?

 戦闘職じゃなくて大丈夫なのです?」


「まあ、現実で武術なんかは習ってたからな」


「まあ、いいのですよ

 じゃあ、次なのです

 スキルの選択なのです

 選べる数は3つなのです

 レベルが上がればSP(スキルポイント)が1づつ手に入るのです。それで新しいスキルは取るのですよ」


 スキルの種類はゆうに100種類以上はあるようだ。

 え~っと・・・・・これと・・・・・これ。あとは・・・・・これだな。


「この3つで頼む」


「分かったなのです

 一応確認なのですよ

 薬草知識、錬金術、鑑定の3つでいいのです」


「ああ、それで大丈夫だ」


「スキルの設定が完了なのです

 続いて、初期ステータスなのですが、これは皆固定なのです

 種族の差はあるけど、みんな合計値は固定なのですよ

 人間の場合だとオール10なのです

 現実での力の差にもよってゲーム内での力は変わるので、そこは注意なのです」


「分かったよ」


 これで大体の事前決定は終了だよな?


「じゃあ、最後に所属国の決定なのですよ!

 さあ!選ぶといいのですよ!」


「俺の所属する国はもう決まってるよ。俺が選択すんのはここ・・・魔の国、フルースだ!」


「おお!マジなのですか!

 運営側も作ったわいいんだけど、誰も選ばねぇし最初の方いらなかったんじゃね?みたいな雰囲気になっていたらしく・・・・まあ、ともかく!あなたが魔の国を選んだ世界初のプレイヤーです!」


「日本でしか売ってねぇだろ!

 それはそうとして・・・・マジで?PKやろうとしているやつでも、フルース選んだやついねぇの」


「はいなのです!まだ所属ことを決めている人が、全国で1000人程度なのですよ

 まあ、リスクとリターンが釣り合ってないと思ってるのではないのです?

 私的には、フルースはおすすめなのですよ

 まず国の王は見て目ロリでドジっ娘で可愛らしいですし、はっきり言って国力の差が他とは半端じゃないほど開いてるのですよ

 勿論いい意味でなのです

 他にもポーション類の値段は他の国に比べ安くなっていたり、武器の強さも他の国と同じ値段で2ランク位は変わりますのですよ

 これらも踏まえて私は圧倒的にフルースをお勧めの国と断言するのですよ

 周囲の魔獣のレベルが10は超えているという部分は少々厳しいと思うのですが」


 へ~、運営のホームページには載ってない事なんかも教えて貰えるんだな。

 運営のページに載っていたことは、周囲のレベルと国力が高いことぐらいかな?


 そうそう。VDOの設定なのだが、100年ほど前までは戦争が続いていたらしい。

 100年前には無数の国が世界にはあったらしく、それらが自分の国を強くするために戦争をしていたそうだ。

 そんな戦乱の時代を生き抜き、尚且つその後100年の間に潰れなかった国で、現在大国と呼ばれる国が最初に選択する7つの国らしい。

 現在まで残っている小国の数まで合わせると合計で30ほどはあるそうだ。


「それじゃあ、グリヴの設定は終了したのです!

 何か質問はあるかな?なのですよ」


「質問、かぁ~・・・・特にないかな~」


「じゃあ、じゃあ!今から時間ってあるかな?なのです!」


「ん?大丈夫だけど」


「なら、スキルの練習をしていかないか?なのです」


「え!スキルって開始前に練習できんのか?!」


「あと、武器の練習も出来るのですよ・・・・・

 あっ!完全に忘れてた!なのですよ

 グリヴ、あなたは何の武器を使うの?なのです」


 俺の周囲には大剣、両手剣、片手直剣、短剣、刀、盾剣、細剣(レイピア)、杖、(メイス)、弓矢、(クロスボウ)、斧、槍斧(ハルバード)、鞭、爪、大鎚(ハンマー)、篭手、槍、その他もろもろ、数にしてゆうに30を超える種類の武器が出された。


「これって、全部出す予定だったのか?」


「あ!間違えたのです!

 ・・・・・しょうがないので見て選んでくださいなのです!」


「適当だな!おい!」


 まあ、そう言いつつももう武器は決まっているので問題はないんだけどね!


「俺が選ぶのは短剣だ」


「?短剣にするのですか?

 先程は武術を習ってたと言っていたのですよ」


「ああ、正確には武術とか剣術とかもろもろ全部習ってたよ。その中で俺は刀が一番得意なんだけど・・・短距離だったら短剣が使いやすいから、短剣にしようと思ってるんだ」


「凄いのですね!

 今まで来た人たちは大体が片手直剣とか銃とかを持って行ってたのですよ

 ただただ、憧れの気持ちだけでなのですよ

 自分の使いやすい武器とか、そう言うことを考えていかないとだめなのですよ」


 いきなり愚痴りだしたぞ、このAI。別にいいんだけどさ、AIって愚痴言うんだね・・・初めて知ったよ。


「とまあ、愚痴るのはこの辺にしておくのですよ」


「あ、愚痴してる自覚あったんだ」


「当たり前なのですよ!

 グリヴはただ黙って愚痴を聞いてくれるので、時々愚痴を聞いてほしいくらいなのですよ」


「まあ、それ位ならいいけどさ・・・

 ところで、話し戻さなくていいの?」


「ああ、そうだったのです

 じゃあ、そこの扉から出ればフィールドがあるのですよ

 実際にはないフィールドなので、今しか楽しめないのですよ

 必要なものがあったら私に言うといいのですよ!

 スキルの使い方は口か頭の中で呟くことなのですよ!別に大声で言っても大丈夫なのですよ」


「まあ、呟くのはOKで大きな声で言ったらだめなんて誰も考えねぇだろうな」


「それもそうなのです!

 それはそうと、必要なものは何かあるのです?」


「じゃあ、ポーション作るための道具をくれないか

 あと、調合の方法を教えてくれ。何となく自力でも調合できた方が、後々楽できそうな気がするし、錬金術って結局のところ劣化コピーを作れるスキルだろ?ポーションのために使う必要は感じられないんだよな」


「お、分かってますね!錬金術とは言っても、所詮はスキルです!

 スキルは使い続けることでレベルが上がります

 それは従来のゲームとほとんど同じですよね?

 でも、VDOではここからが違います

 このVDOでは、まずスキルのレベル上げ、それ自体には大して価値はありません

 使い込むことが重要なのです!

 使い込むことによって、スキルの効果は徐々に上がっていきます

 簡単に言えば効率上げです

 効率を上げることによってスキルの効果アップ、そして成功率がアップされるのですよ!」


「つまりは使い続ければ使い続けるほど、スキルのレベルは上がり続けるという事か?」


「正解なのですよ!

 そして、グリヴの言っていた自力での作業、これにも価値があるのですよ

 一定以上の熟練度を達成することによって、スキルをノーコストでゲットできるのです!」


「マジかよ!じゃあさ、ゲームが始まる前にもスキルを手に入れることって出来んのか?」


「答えは『イエス!』なのですよ!

 流石はグリヴさんなのですよ!

 では・・・・ここら辺に確かあったはず・・・・と、あった!ありました!こちらをどうぞなのですよ!

 じゃあ、何か困ったことがあったら気軽に声をかけてくださいね!

 あと、ログアウトするときは、声をかけて貰えると嬉しいのですよ!

 扉はずっとあるので、離れすぎないように注意するのです

 でも広さとしては野球場9戸分くらいの大きさなのです

 その程度の大きさなので、すぐ戻ってこられるのですよ!

 出てくる魔獣は角突き兎(ホーンラビット)とスライムの2種類だけなのです!

 では、安心して、尚且つ楽しんできてくださいなのですよ!」


「ああ、ここまで説明ありがとな

 絶対にログアウトする前には声をかけることにするよ」


「はい、なのです!」


「じゃあ、またな」


「行ってらっしゃいなのですよ!」


 ノノは笑顔で手を振って見送ってくれた。




 さてと・・・・薬草はそこら辺に沢山生えてるしな、とりあえず手あたり次第採取していくか。





 20分後

 うーん・・・・地味!

 そして、疲れる!

 採取はここまでにして、薬草の種類を知らベていくか。



 薬草・・・・毒草・・・・・・薬草・・・・・薬草(下級品質)・・・・・・・毒草・・・・・薬草(上級品質)・・・・・・痺れ草・・・・・・斬草・・・・・・


 その後も調べていき、いくつかの種類へと分けた。

 その内、調合の練習には下級品質のものを使うことに決めた。

 そして、他はインベントリの中へと突っ込んだ。

 インベントリは簡単に言えばアイテムボックスだ。

 一枠1種類、99個まで入れることができる。


 インベントリの中から調合セットを取り出した。

 どうやるか分かんないし、手あたり次第やってくしかないか。


 調合セットの中身はお椀サイズの乳鉢と乳棒。加熱用の鉄製の容器とそれを支える三脚、加熱用の七輪のような何か。そして、薬を入れるためのガラス容器10本だった。


 まずは、乳鉢に『薬草(下級品質)』をいれ、乳棒で擦る。

 むらの無いように丁寧にやっていく。


 ゴリゴリ・・・・・・ゴリゴリ・・・・・・・


 しばらくこすり続けると、薬草から汁が出てきた。

 その汁を鉄製の容器に移し、七輪で加熱する。


 過熱を終え水と混ぜたらガラス容器に移す。

 そうしてできたのが『初級回復ポーション(低品質)』だった。

 低品質は余計だ!



 そうして、薬草(下級品質)がなくなるまでポーションを作り続けた結果、なんと!なんと!調合のスキルが手に入ったのだ!

 あ、途中でポーションを入れるガラスがなくなったので、ポーションはそこら辺に捨ててガラス容器は再利用しました。

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