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癖
多分、それは≪彼≫の癖だった。
「歩かないの?」
「歩いてるだろ」
「そうじゃなくて、隣」
振り返れば、≪彼≫はいつも私の後ろを歩いていた。
最初は隣が嫌なのかと思ったけど、そうじゃない。
≪彼≫は家族相手に対しても、似たような対応をしていた。
同い年の男子と比較すれば、そこまで身長が高いわけではないのに、
いつも列を作れば、席替えをすれば、
決まって≪彼≫は後ろにいた。
「いい。後ろでいい」
後から考えれば、≪彼≫の病気が≪彼≫にそうさせていたのだろう。
だけど、それだけじゃない気がする。
なんとなく、≪彼≫は、
自分自身に引け目を感じて生きている。
そんな気がした。




