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最弱の勇者は、最強の魔女に世界を壊される。  作者: ぺんぎん
現実世界編
22/53

状況

 教会の中で静かに祈りを捧げる少女がいる。

 銀色の髪は、泉に広がる波紋のように、長く光を放ち、

 少女の神秘性を際立たせる。


 誰に祈り、誰のために祈っているのだろうか。

 この流れだと、神様に対してかもしれないけど。

 事の真意はそれこそ少女にしか分からない。


 すると、少女はゆっくりと立ちあがる。どうやらこちらに気付いたらしい。

 少女は振り返ると、息を呑みつつも、慈愛に満ちた微笑みを湛えた。


「初めまして、どのようなご用件でしょうか?」


 鈴が鳴るような、儚くて壊れそうな声音だった。


 ――≪彼≫はこんな少女だからこそ、好きになったのかもしれない。



* * *



「鬼頭、先生……?」


 聞き覚えのある名前は、どこか遠くの日々に置いてきた忘れ物に近い感覚だった。


「覚えていないのも無理はない。勇人君、君からしたら()()()での生活の方が長い」


 名前の風習はないに等しい世界だったから。

 白衣を着た錬金術師、いや鬼頭先生は『俺』に優しく気遣ってくれる。


「勇人……」

「君の名前だよ。覚えはあるかい?」

「一応は……」


 聞き慣れない『勇人』という響きが、『俺』の名前に当たるらしい。


「あの……」

「うん」

「聞いていいですか?」

「勿論だ」


『俺』は少し迷い、状況を整理することから始めた。


「俺の名前は『如月勇人』って言うんですか?」

「ああ、そうだよ」

「年は?」

「十六歳だった筈だよ。ああ、でも来月辺り君の誕生日があるから、

 十七歳って言った方が正しいかもしれない」


 その後、鬼頭先生は知る限りの情報を教えてくれた。

 

 『俺』の名前は如月きさらぎ勇人ゆうと

 公立高校と言う学問を学ぶ機関に所属しているらしい。

 両親と妹の四人家族で、『俺』は鬼頭先生の患者で、病院によく通っていたらしい。

 『俺』は困惑して、尋ねた。


「俺は、どこか悪かったんですか……?」

「そうだね」


 穏やかに、鬼頭先生は肯定した。


「珍しい病名でもないけど、だからと言って軽い病気でもない」

「……なんですか、それって」

「――睡眠」


 先生は静かに『俺』の病名を告げた。


睡眠すいみん過剰かじょう症候群しょうこうぐん。それが君の病だよ」

主人公の病名はフィクションであり、現実の病名とは一切関係ないので、ご了承ください。

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