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Ep.4《山駆け》

修行の内容はすごかった。

いや、”酷い”というほうがあっているかもしれない。


まず最初に言われたのが、

「普段は常に服の下にこれを着てなさい。」

師匠は荷物から黒くて薄い肌着を取り出した。

俺は何に使うものだろうと思っていたが、受け渡されたときにその意味を実感した。


「うおっ!?」

受け渡されたとき、あまりの重さに腕と一緒にそれが地面についた。

上に力を加えてもびくともしない。

「総重量、約120キロ。密度の高い物質を繊維として編み込むことで完成したパワーアイテムだ。

 これを毎日着ていればさすがに筋力もつくじゃろ」

何食わぬ顔で解説する師匠に、俺は一言


「軽くしてください。」

「甘ったれるな小僧。」

即答だった。


だがひどい内容はこれだけではない。


【毎朝三時に森で集合。】 夕方じゃないぞ、”朝”の三時だぞ。

【毎日最低でも150回は山駆けを行う事。】

【一日50体は自分より体の大きい魔物を倒すこと】

【水分補給は12時間に一回】

【家の仕事は真面目にきちんと行う事。】

【あの超重い肌着を脱いではならない】


一つでも規定を破れば最初からやり直し、しかも倍の量でだ。


俺はこの時、本当に死の危険を感じた。


魔術についてはこれらを毎日できるようになってから教えるという。


「師匠。」

「なんじゃ」


「死んでしまいます」

「そうかがんばれ」


「あの。師__」

「そうかがんばれ」


「えと_」

「がんばれ。」


「____はい」

俺はもう、考えるのをやめた。




「でやぁああぁぁぁぁああぁぁ!!!」

翌日現在午前3時半。

俺は今日も山を駆ける。いつもの何十倍も速く。

というかその速さでないと死ぬ。


なぜって、

「遅い遅い遅い遅い!」

後ろから俺以上のスピードで師匠が追ってきているからだ。

その手に布を巻いたこん棒をもって。

今になって思うと、なぜこんな老人が食人植物に襲われていたのだろう


バコッ!

師匠のこん棒での一撃が入る。

「いぎゃあ!」

棒がめり込むぐらいの勢いで頭に打撃を食らわされ、少しスピードが落ちる。

バコッ!バコッ!バコッ!


間髪入れずに師匠はこん棒を俺にぶつける。


「いでえええええええ!」

俺は意地でもスピードを上げた。

そうしなければまたあの衝撃が頭にくらわされることになる。


「そうだぁ!もっとスピードを上げろ!自分の限界を超えるのじゃあああぁぁ!」

師匠もそれに合わせてスピードを上げた。


三年間鍛え続けて自分の体はもう人間離れしてると思ったけど、

さすがに120キロは死にそう。

というか120キロ背負いながらここまでやってるのってすごくないの!?

違うよね!え?帝都じゃこれが当たり前なの!?


と、心の中で疑問を入れつつ おれは今日一回目の山駆けを終えた。

残り149回。頑張れ俺

   


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