Ep.3《老人、語る》
「お前を、魔術学校に入れてやる」
老人の言葉が静かな森にじんわりと響く。
「......」
10秒ほどその場の空間が固まった。
「?......どうした、ランス?」
静けさに疑問を抱いた老人は硬直した俺に聞く。
だがその時
バタッ
「あ、気絶...」
俺はあまりの衝撃に思考が停止したのであった。
そして======
「ま、まままま魔術学校って!??」
俺はすごい剣幕で老人に聞きよる。
「お...おう。 まぁ、落ち着け。」
あまりの剣幕に驚く老人が、どうどうと馬をなだめるかのように俺を鎮める。
「あ、すいません」
いったん落ち着き距離をとると、老人が話し出した。
「ランス、儂は...今までずっと旅をしてきた。
その理由は、後継者を探すためなんじゃ」
「後継者?」
俺が老人の言ったフレーズを返すと、老人は静かに語りだす。
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儂は若き頃、魔術師だった。
十八系統ある魔術師資格のすべてを持ち、自分で言うのもなんだが、
なかなかの業績を残していった。
ただ。時がたち、先人たちが残してきたものを全て覚えてしまったんだ。
『もう、覚えることがない。』
儂は途方に暮れた。
世間はすべての魔術を修めた者として儂を讃えたが、
儂はやることが無くなってしまった。
そのまま またさらに時がたち、儂はその何たる退屈さを埋めるため、自分の魔術を創りだした。
だがどれもこれも見覚えのある物ばかり、完全な自己流は決してできなかった。
全ての魔術を極めたからこそできた墓穴なのかもな。
わしはその時、魔術に興味が無くなった。
世間ではこういうのを
飽きたというのだろうか。
だからは儂は後継者を探すため、旅に出た。
まだ魔術を知らない、いくらでも創作が可能な者を。
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「そして...やっと見つけた 後継者を!」
老人は俺のほうを見直した。
「スヤァ...」
俺寝てたけど。
ブチッ
何かしら血管の切れる音がした後、
「寝るなぁ!」 「グほぉ!」
そのご老体からは想像もつかない力で殴られた。
みぞおちに渾身の一撃をくらい、今度は永遠に眠りそうな勢いで意識が飛んだ。
その日から 俺はこの謎の老人を師匠と呼び、修行をつけてもらえるようになった。
だけど......