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Ep.1《出会い》

間違っている個所や問題点などがあった場合は感想等で知らせてくれるとありがたいです。

魔術師になりたいけど

まったくもって魔術の才能も技術もなく、どうしても魔術の使えない少年。

主人公 ランス・D・オズワルドが


「だぁあああああああ!!」

俺。 ランス・D・オズワルド 齢13にして発狂に近い声で叫ぶ。


「使えなぁあああああい!」

俺が叫ぶここ、フェイル村は帝都から馬車でも10日はかかるほど田舎だ。

村人のほとんどが農家だし、実際俺の家もそうだ。

そんな田舎少年の俺が叫ぶ理由。


それは


「魔術師に...なりたああああぁぁああぁい!」


===========================================

魔術師...

魔術を用いて生計を立てる者。また、魔術を使用する者の総称

主には帝都中心部の職業で。

その種類は様々なものがある。

薬学を専門とした...薬術魔術師 魔物討伐を専門とした...戦闘魔術師

魔法道具制作を専門とした...鍛冶魔術師 等


そのほか合計十八系統の魔術系統の中から

いずれかの魔術師資格を得た者を「魔術師」という。

=========================================

「......」

ひとしきり叫び終えたところで、少し落ち着こうと思った。


何時(いつ)かに見た魔法を使う瞬間。


魔物に襲われたと思われる大けがした寄合(パーティ)がこの村に来た時だ。

通りすがりの魔術師(あの人)が見せた、魔法の瞬間。


半透明の淡い薄緑色の魔法陣が傷口に触れて

包帯越しにも生々しかった傷口がみるみる塞がった。何も起きなかったみたいに治っていた。


その瞬間。俺の中で憧れに近い願望が浮かんだ。


_______魔術師(あの人)に、なりたい。


馬鹿げた夢だと村のみんなは言うけど、俺は本気でその姿になりたいと思った。

魔術学校へ行きたいともう親に何度言ったことだろう。

そしてもう何回「無駄なことを夢見るのはやめろ。お前はここで畑を(たがやし)していればそれでいい」

と返されたことだろう。


だが俺も馬鹿じゃあない。

「無駄なことを夢見るのはやめろ」というのであれば

無駄なことじゃなければいい。

つまりは


「うおおおおおおおぉぉぉぉぉぉ!!!」


とにかく努力して強くなる。


その発想に達してから3年

一向に魔法が使えない...

それでも俺は山を駆ける


木から木へ移り、その間に見た落ち葉を地に落ちる前に拾う。

これをひたすら繰り返す。

一見何の意味もなさそうな行動だが瞬発力と動体視力が格段に上がるのが分かった。

普段の生活の中でも、実は砂袋を服の下に入れていたりする。


そして

「ハァぁーーーー......」

378回目の魔法発動を試してみる。


「=発火(ファイヤ)=!!」



   ............



川が流れる音、風に揺れる葉の音、鳥のさえずり。

その中で少年が両手を前に突き出して唸っている。

そこから得られる情報はそれだけで、火が付くことはなかった。


「.........っだぁ!」

無意識に止めた息を吐き、手に膝をつく。


「はぁっ、はぁっ...ああっ!!」

右手に握り拳を作り、自分の(もも)をたたいた。


__くそっ なんで使えないんだよ。


その言葉が頭に浮かんだ瞬間。記憶の声が響いた。


「お前には無理だ。」「馬鹿げた夢だ」「お前は畑を耕せばそれでいい」

「無駄だ」「やめろ」「現実を見ろ」「ただの田舎の餓鬼が」「才能がない」


___俺は、魔術師に...()()()()()


「だあああぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああ!!!!!!」

「うるさい!俺の夢にとやかく言うなぁ!」


誰もいない空に向かい、俺は怒りの声をまき散らす。

「俺も惑わされるな、使えないなら努力しろ!」


と自分に言い聞かせ、(ほお)を叩く。もはや洗脳である。


「...よしっ。鍛錬続行。」

俺はそう言って訓練に戻ろうとしたが。


「おい、そこの若造。」


「ん?」

声がした。


だが周りを見渡しても誰もいない。

「...気のせい、か」


俺は再び足を動かそうとするが、

「おーい、まていここじゃあ。小僧ー」


「え?」俺は落ち着いて声のするほうを探す。


_____......っ!!


「上か!」


「よう、小僧」


当然のごとく挨拶で返されたが、その光景を理解するのに数秒かかった。

「は?」


__...落ち着け、落ち着いて状況を一文で表すんだ。えーと


()()()()()()()()()()()()()()()()()

「...えええ”え”え”えええぇえぇえ!!!!?」



この変な出会いが、(のち)に俺が魔術師まで走り出すためのスタートになるとは。

この時の俺は、知る(よし)もなかった。




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