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首都戦記、小6女子の夏の陣  作者: きっと小春
群馬県・準決勝(第一試合)
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山本くん、試着される

裸になった佐藤さんをしっかりと見る。


見なければ先に勧めない。


大きい胸、うっすらと弱々しくも、大事な場所を隠そうとしている色が濃くなり始めた産毛。


大人になりかけている佐藤さんだ。


大事なところが熱くなる。


近づいてくる佐藤さんに、頷き、目を瞑る。


頭上のチャックが下ろされていくのがわかる。


チャックを下ろされてしばらく経つと、体と心が離れていくのがわかる。


完全に俺の中に入ったのかな?


チャックが閉められる感覚がする。


というか、佐藤さんの方が背が高いはずなのに、俺伸びてるのかな?


今では、目も開けられない。


本当は体の内側だと思う。でも外側に触れられている感覚だ。


脛と脛、太ももと太もも、腕と腕、お腹とお腹、背中と背中、唇と唇、鼻と鼻…。


まるで裸同士が抱き合っているような感覚だ。


不意に、目が開く。僕は自分の掌を見ている。


佐藤さんが俺の体を試着しているのだろう。


「監督、問題なく動きます」


「最初だから支えますね…これで……歩けますか?」


ぎこちなく、一歩進んだ。歩くということは感覚、つまり佐藤さんは、自分の体の感覚で歩こうとしているのではないか、間違っていると教えようとするが、声が出ない。そうだ喉も佐藤さんの者となっているのだ、当たり前だ。繋がり…そうだ、心の声で」


”佐藤さん聞こえる?”


”あっ、山本くん?”


”うん、佐藤さんの記憶で歩こうとしたら駄目だよ、俺の記憶を探ってみて…”


”わかった”


俺の中の記憶…触られたのか? くすぐったいような、何とも言えない感覚だ。


今度は、自分の体と同じように、自然と歩き始める佐藤さん。


”同じ人なのに、こんなにも違うんだ…”


”そのうち慣れるのかな?”


”どうだろうね”


歩き始めると、佐藤さんの体と、俺の体が擦れる。


大事なところも擦れる。


”ご、ごめん。き、気持ちよくなってきちゃった、ちょっと止まって”


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