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首都戦記、小6女子の夏の陣  作者: きっと小春
群馬県・準決勝(第一試合)
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大山監督、懸念する

山本くんの参戦の意思を伝えるため、大山監督に首都戦・戦略ルールへ来てもらった。


「ありがとう、山本くん。親御さんへの参戦に関する説明は学校側から行うわ。一度参戦が決まってしまえば、親御さんに拒否権はないのよね。戦勝国の超法規的措置でも言いましょうか…まぁ言うに言えないけど」


「はい。よくわかりませんが」


「それで、何はともあれ、リンク率を見てみないとね。だけど…その前に。すぐに発生するであろう問題があるの、それを解決しやすくしときたいの」


「問題ですか?」遥が不思議そうな顔で尋ねる。


「そう、山本くんを着るとき、あなたは…遥は、裸よね。裸を山本くんに見られるのよ。リンク率がわかる前に、つまりは駄目であっても、見られてしまうの」


「監督、私は気にしません」


「うん、遥は大丈夫だと思ってるわ。問題は山本くんなの…これはリンク率が良いときの話ね」


「俺の問題ですか?」


「恐らく。参戦する男の子は、遥の熱意に感動したり、遥の神秘的な秘密に興味持ったり、遥の美貌に惹かれたり、遥の助けたい・力になりたいと思ったり、自分自身が挑戦したい・目立ちたいとか、だと思ってるわ。で、山本くんだけど、そうね…美貌に惹かれて、助けたくて、自分に挑戦したいとか、かしら?」


「えっ? 全部正解ですけど、監督って心を読めるのですか?」


「随分素直なのね」


「はい。どうせ、繋がったら全部わかってしまうし」


「その素直な気持ちや優しい気持ちが、問題なの」


「監督、難しいです」と遥が項垂れる。


「言い訳だけど、首都戦の内容って、学校で扱える内容じゃないのよね。まぁ、そんな事を言っても仕方ないけどね」


「なぜ問題かと言うと、遥の裸をみれば、きっと山本くんは勃起します。いいえ、これは健康な男の子であれば当たり前です。しかし素直で優しい山本くんは自責の念に駆られるでしょう。ここから先は、遥も知らないと思うのだけど、山本くんを着た場合、山本くんはずっと遥と裸で抱き合っている感覚になるの。さらに言えば、射精ってこともあり得るの。そうすると余計に山本くんは、遥かに対して申し訳無い気持ちでいっぱいになると思わ」


「山本くん、私、気にしないから、全部、さらけ出すつもりだし」


「う、うん…女の人の裸なんて…見たことないし…どうなるか、自信ないよ」


「そう、そういうことをお互い最初に認識できれば、乗り越えられると思うわ」


「山本くんを着る前に、二人に考えて欲しいことがあります」


「”今”と”ちょっと先”と”ずっと未来”についてです」


「今について、つまりリンク率が低い場合、山本くん、首都線について知りえた情報を口外した場合、機密事項漏洩により、裁判を受けずに死刑になります」


山本くんの表情が硬くなる。


「ちょっと先について、私も遥も山本くんも、本校初の首都戦参加となり、誰も何も知らない手探りの状態が続くと思います。何があっても諦めないで挑戦し続けて欲しいのです」


「わかりました」


「ずっと未来について、首都戦に参加するということは、普通の人生を送れなくなるかもしれないの。何がどうなるかわからないの。参加したことを、後悔するかもしれない。でも参加しなかったことを後悔するかもしれない。誰も答えなど知らないということ」


「覚悟はできています」


山本くんの目に何かが宿る。


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