音音ちゃん、決勝に立つ
すべてが色色の推測通りの結果となっている。
石田は色色の計画通り、こちらに共闘を提示してきた。
「ええ、私は接近で、あなたは遠距離からの支援で、北条を打ち取りましょう」
「北条を倒して後は、仕切り直しでいいな」
「そうね、まずは難攻不落の北条を…」
心に熱がこもる、一歩間違えれば、この場で石田に襲いかかりそうだ。
決勝ステージは、全長350m、全幅50m、18層(客室5層)にもおよぶ豪華客船であった。
「北条がデッキにでる可能性は少ないのでは?」
「だろうな。船内でも俺達二人が有利だろう」
アナウンスが決勝開始まで5分を告げる。
ベースキャンプは18層目の展望台内、石田陣営の隣に設置してある。
最上階に設置したのは、時間と共に最下層から利用禁止となり、例のごとく攻撃されるからである。
北条陣営は何層にベースキャンプを設置したかは不明だが、最上階まで制限される前に決着を付けるつもりだろう。
フォームは剣道部の浅間くんだ。
”北村さん、船内は武器を振り回すと障害物に当たる可能性がある。突きを中心に攻撃するように”
”わかったわ”
「それで開始後は客層まで降りるの?」
「それもいいと思うが、14階層の屋外プール付近で待っても良いかもな」
「確かに、メインエレベーターか、それ以外ならこちらに近づくにも距離があり、認識しやすいかも」
試合開始のアナウンスが流れた。
石田と目が合う。
「よし、行こう。まずは北村さんが、先行してくれ」
「うん、わかったわ」
私が展望台から続く螺旋階段に近づこうとしたとき、走り込む人影が見えた。
「危ないっ!!」
掌にじっとりとした汗をかく。
石田くんの首筋に包丁が食い込む。
私は突きを北条に放つが、はじめから一撃離脱を決め込んでいたのか、深追いをせずに螺旋階段を駆け降りる。
石田くんはその場に倒れ込んだ。




