音音ちゃん、我慢比べ
館内を消灯すると、太陽光が少しだけ入るだけで薄暗くなる。
さらにトラップを用意しようと相談していた。
偶然使ったサーチで、相手が水族館の中に入ったことを知る。
棒を紐で釣り、相手の注意を惹く作戦を思いつく。
”何かで固定できないかしら?”
視界の端に人影がっ!!
”気付かないふりをしよう”
”わかったわ”
相手が通路から消え、2Fまで上がってくるのを待つ。
感じるわ、もう真後ろまで来ているのね。
振り返ると同時にダッシュしてくるっ!!
棒につなげてある糸を捨てて構えると、相手はスライディングしてくる。
避けきれない…。
スライディングは、正確に脛を狙ってきた。
衝突のとき、足の骨から軋む音がする。
音音ちゃんは、かぶさるように相手の上に倒れると、相手を掴んで回転する。
そのままペンギンの水槽の中に落ちた。
今回のフォームは剣道部の浅間くんではない。
水泳部の染谷くんだ。
相手を掴んだ音音ちゃんは、ペンギンの水槽の中を沈んでいく。
レイラは暴れるが、水中では動きが鈍い。
それに下手に動けば酸素が減るのも早い。
3分が経過すると完全にレイラは動きを止めていた。
水中なので放送は聞こえないが、運営側から処理宣言のため、ペンギンの水槽の外から手書きのカンペで教えてもらえた。
スライディングによる足の怪我のため、歩いて帰ることが出来ない。
担架が用意され、緊急治療用の施設へ輸送されることとなる。
「あと4勝すれば…」
運が良いことに2回戦まで四日間の休憩もできる。
今はゆっくりと休もうと思う音音であった。




