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首都戦記、小6女子の夏の陣  作者: きっと小春
全国大会・休養および準備期間
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奏、宣言する

三大会連続優勝中の岡山県、そして今回の代表、北条 奏。


過去三回の優勝者も、奏の血族である。


「いよいよ、全国大会ですね。北条家に敗北はありえません」


前回優勝者である姉の七海が、出発の朝、笑顔で言った。


「はい、奏は優勝以外考えておりません」


奏は優勝し続ける重要性を知っていた。


幼少期に国民全員が、小児性遺伝子確率変動型進化症候群を引き起こす注射を打たれる。


そこでフォームを着れる女、フォームになれる男が生まれる。


そして首都線の裏では、負けたチームの家族は…。


つまりフォームの男女は、現在、戦勝国と交戦中の敵国との戦場に投入される。


核兵器が廃絶された世界では、フォームの戦士こそ最強の武器なのだ。


またフォームに慣れない残りの家族達は、例の注射の材料となる…1人で5千人分の材料となる。


優勝したチームの家族は、上級国民として、戦勝国と同様の権利を与えられる。


だが、上級国民として権利を与えられてなお、首都線に参加するのか?


それは奏にもわからなかった。


ただ、それが当たり前のことであると当人は思っていた。


北条家の子供は、受精卵の着床後、遺伝子組み換えによって知力、体力、美貌共に常人以上のパフォーマンスを発揮できるように調整されるのである。


奢りも恐怖もない、ただの殺人兵器、それが北条 奏なのである。


「それでは、岡山県代表 北条 奏さんの勝利とご多幸を祈念し、バンザ~イ、バンザ~イ、バンザ~イ…」


県知事を始めとする多くの権力者達が、奏の勝利を願っている。


権力者達に見送られる奏を出迎えたのは、チームメイトであった。


フォームである4人の少年たちは、奏と共に参戦するためにどれだけの苦労をしたのだろうか、物心ついたときから優秀なフォームになるべく、ただひたすら己の特徴を磨いていたのである。


そしてフォームの選別会、何千人といるフォーム予備軍の中で、たった4つの席を奪い合う。


このフォームに選ばれることがあれば、自動的に上級国民としての道が開かれるのである。


チームメイトと合流すると、タブレットから目を離した監督が言った。


「今年も、北条家の敵となりそうな人物はいない」


「そうですか」と奏は呟く。


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