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首都戦記、小6女子の夏の陣  作者: きっと小春
全国大会・休養および準備期間
31/45

色色、驚く

群馬県・決勝をTVで観た色色しきしょくは、轟く。


「何で、音音のお姉ちゃんが…」


音音は、色色の双子の実の姉である。


両親が反逆罪で死刑になったとき、里子として山形県に住む若い夫婦に引き取られていたのである。


あまりのショックに四日間も学校を休む。


夕方、俺のパートナーである倉沢 杏奈が、宿題のプリントを持って見舞いに来てくれた。


「いらないのに、プリントなんて」と俺はムッとした顔となる。


「ご、ごめん…でも、先生が…」


杏奈は、こんな性格なのだ、とても首都戦などに出れるようなタイプではない。


「あの…TV観たよね? あの子、お、音音ちゃんは…」


「俺の双子の姉だよ」


「やっぱり、似てるから、もしかしてって…」


「杏奈さ、これって国が俺達姉妹を殺そうとしてるのかな? 偶然じゃないと思う」


「わ、私も…思った…」


杏奈はそっと手を出す。俺はその手を握る。


「誰が来ても、勝とうな、杏奈」


「うん」


翌日から、全国大会に向けて、調整とは言い難いほどの練習をする。


「杏奈、まだまだだ。リンク率、70%なんて、全国じゃ普通だ」


「うん、もっと上げよう」


俺だけじゃない、バスケの木村も、ゴルフの山口も、体操の小林も全員が、夜遅くまで杏奈と練習する。


「よし、今日はここまでにしよう」と監督が言う。


「このまま風呂入って寝たい」と山口くん。


実は、監督を入れて6人で合宿をしているのだ。


「コラ、みんなのために、夕食を作ってくれているんだぞ」


「はーい」と全員が返事をした。


みんな元気なふりをしている。


布団に入れば、各々、死への恐怖と戦っていた。


小林くんは、毎晩のように泣き崩れ、寝れば小6にもなって、おねしょをしているのだ。


みんな心を保つだけで精一杯なのかもしれない。

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